2016年7月20日水曜日

世紀のクライム


さて、今日はどこに行きますかね〜。

残り日程も少なくなり、お互いの希望をどうはめるかということを考えはじめる。

僕はといえば、明日のマルチに最後の力を残しておきたいから、ゴッド本先生の行きたい場所に付き合って、その辺の易しいルートでもこなせればいいな〜という感じです。

んなことをムニャムニャ言っていると、おもむろに

「Crime of The Century、終わらせたくないですか?」

とゴッド。


おお!?

同じ岩場に3度はさすがに悪いと思って言えなかったのだけど、唯一やり残した感があるルート。ゴッドもいくつか気になるラインがあるので、もう一度いってもいいよ、ということです。まさにカミのホトケ心。(なんやそれ)


混雑を嫌って、朝早くからPenny Laneエリアへ。






いつもは急な雨だったり、懸垂待ちのクライマーだったり、この岩場に来ると気持ちが乱されることばかりだったけど、静かな朝は、このラインが少しだけ親しげに感じられた。


パワフルな出だしをなんとかこなし、強度の高いフィンガーが続く中段へ。

右足スメア。
苦しい体勢で左足ジャムをきめる。



先日、このルートを登っていたクライマーの言葉を反芻する









「足がものすごく安定していたけど、どういう風に登ってるの?」


アメリカの高校で科学を教えているという彼は、極めて平易なアドバイスをくれた。


“bad foot, good foot, bad foot, good foot..”


悪いスメアを一足耐えて、良い足ジャムを決める、悪いスメア、良い足ジャム・・このパターンを繰り返せということだ。

なるほど、僕の足はどちらも危うい”bad foot”だから、どこまで行っても休まらないバタバタした登りになるわけだ。指だけではなく、足も狙いをつけて動さないといけないのか。






今にも外れそうな左足。
これが精一杯の「グッドフット」だと信じて立ち込み、指をずらし上げる。

右足をスメアして、体をあげる。

(バッドフット、グッドフット、バッドフット、グッドフット、・・)

マントラを唱えていると、不思議に怖さが消える。


抜け口が近くなり、クラックがなくなりはじめる。
浅い溝を、危ういバランスでそろりそろりと登っていき、両手を抜け口のスローパーにかける。足のリズムが崩れる。

ちくしょう。右も左もバッドフットになったらどうすればいいんだよ。


長くランナウトした足元に目をやる。
スローパーを握りこむ指に余計な力が入り、急速にパンプが襲う。

右足をかすかな粒に乗せる。

(グッドフット、グッドフット、グッドフット、これがグッドフットだ・・)

右足を見ないようにしながら体重をあずけ、左足で必死にスメアを掻きながら際どいマントリング。





完登。


次にトライしたらどうなるかわからない。ほとんど綱渡りのようなムーヴだった。
でも、僕には全く不可能に見えたフィンガークラックが、少しだけ違って見えるのが嬉しい。

この後、怖そうなフィンガーのThe Yorkshire Gripper (5.11b)、やはりフィンガー系のPartner in Crime (5.11a)をフラッシュ。

自信って大きいんだなあ。

神が苦労しながら一撃したLondon Werewolves (5.11a)もトライ。






僕は残念ながら出だしの核心でフォール。
時間をかけたらまた怒られそうな気がして(ヘタレ!)、取り付きまで一段降りるのを諦める。

1クリップ目だけを掛け直して再トライしたところ、完登〜!


黙って見ていた神に聞いたところ、

「いや、あれはレッドポイントとは言えないですね」


・・ガーン_| ̄|○


冷静に考えてみればそりゃそうだw
ともあれ時間もないことだし、これはこれで納得したので終了。



ここで一段落。神の希望で、Murrin Parkまで大移動し、僕がボコボコにされたHypertension (5.11a)をビレイ。

ほれほれ~、厳しいだろ?厳しいだろ?





しかしそんな邪念はまったく関係なく、神は一撃なのでした。
・・・マジスゲーッス(°_°)

リベンジしてみたかったけど、僕はガマン。
明日の長いマルチに力を残さなくてはならないからね。


再びSmoke Bluffsへとって返し、マサ氏やyuki氏と合流。
クラック経験が少ない二人の希望もあり、易しいルートで一緒に遊びました。





こういうエンクラもいいね~。
撤収間際に、駐車場手前にある45mのCentre Street (5.10c)をトライ。






街をのぞむスッキリした面を縦に貫くトラッド風のラインで、初日に見た時から気になっていました。

が・・沢山あるラインを間違えてノープロの大トラバースを強いられる。






激しいロープドラッグと戦いながら最後のマントルを返すところでフォール、日没敗退。余計なミソをつけてしまいました。みなさまお待たせしてすみませんでした・・


さて、どうやら待ち望んだ好天サイクルがやってきたらしい。

明日は日程的に最後のマルチになるかもしれないけど、出し尽くせるかな〜?




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<どうでもいい話>

猛烈に脱線&かつ根拠なし、というどうしようもない話題なのですが・・・

Penny Laneのルート名はちょっと変わった世界観があって面白い。

古典的な犯罪・サスペンス系のテーマなのかな?

たとえば"Climb and Punishment"なんかは、『罪と罰』という作品と『クライミング』をかけてるみたいだし、Partners in Crimeはアガサ・クリスティの推理小説名と、『クライミングパートナー』のダブルミーニングに見える。Yorishire Gripperは、Yorkshire Ripperという殺人鬼と、指を握りこむ人"Gripper"をかけたシャレ??
他にもチラホラ、自分が登ったルート名の元ネタをマニアックに掘り下げてみると楽しい。

日本語だとどういう感じなんだろう。『八ツ墓村』だとか、『お岩さん』だとか、『人間椅子』だとか、歴史を感じるタイトルに、クライミングを引っ掛けたような感じなんでしょうかね・・(全然わからんわ)

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