2015年10月31日土曜日

炎のクラッカー


槍ヶ岳を下山すると、土日のクライミングパートナーから「風邪によりキャンセル」との連絡。あらら・・お大事になさってくださいね。

次がSTさんからのメール。
「屏風岩に行きたいのですが、空いていませんか?」とのお誘い。

おお〜!たったいま空きました〜!\(^o^)/


てなわけで帰宅の翌日、中央道をふたたび戻って瑞牆へ。
早朝の植樹祭は、凍えるような寒さです。

もちろんSTさんとkozzzzyのヤル気が寒気ごときでしぼむはずはなく、予定通り屏風岩へゴー。こういう時にバシッと希望を貫いてくれると、ビレイヤーとしても燃えるってものですよね〜!(腕まくり)

アップの後、持ってきたウェアを全て着込んでビレイ。
STさんはよろめきクラックとの決着を狙っておられます。




あら?もしかしてSTさんワイドムーヴがうまくなってる!?
あっさりと目標攻略〜。
おめでとうございました!!

すげー。
俺も久しぶりにやろっかな〜。


「もちろんkozzzzyさんはアプリオリやりますよね?」とSTさん。

え?いや、筋肉痛だし本気トライはちょっと・・





ルートを覗きに行ってみると、そこは冷たい風がピューピューと吹き抜ける狭いコル。
この一角だけツンドラ気候になっています。

マクド◯ルドのアルバイトをしていた時に、小部屋サイズの業務用冷凍庫があったことを思い出しました。冷凍ナゲットを取りに行くの、ほとんど罰ゲームだったよな〜。


歯の根を震わせながら戻る。

「あの〜、やっぱりビレイヤーも寒いしやめた方が・・」

「いやいや、これくらい大丈夫ですよ〜!」

と気持ちの良いSTさん。


・・ガチャリ(退路が閉ざされる音)






30分後、気がついたらアプリオリに取り付いている自分がいました。


ワイドから小さなハングを超えてフェースに出るあたりが、見た目にも明らかな核心部。ここにマイクロカムやナッツを固め取りし、何度か試登してはクライムダウン。

2m先に見える甘いクラックにジャムが決まるまで、足元のプロテクションに耐えてフェースを行かねばならない。

フェースの下にはいいレストポイントがあるのだけど、びゅーびゅーと寒風が吹き抜けるため一気に体が冷える。ああ、レインウェア着て来ればよかった。。

寒さに耐えかねて出撃すると、今度はパンプとランナウトの恐怖に心を折られ、再びレストポイントへ降りることを余儀なくされる。指の感覚がなくなってきて、カチが持てているのかもよくわからない。

取り付きを見ると、ありったけのダウンにくるまったSTさんがこちらを見ている。
ゆっくり登ってください!と声援を送ってくれているのだが、さすがに寒そうだなー。






クラックが切れているせいで、得意のエイドすらかなわない。

ええい、しかたない。せっかく来たんだ、上まで行こう!

5度・6度の試行ののちに、覚悟を決めて甘いジャムポイントまで一気に上がる。
もう降りられない。

なんとかカムを取り、続くクラックへ突入。思ったより悪い。
もう早く終えたいという一心でひたすら上を目指す。





風が荒れ狂う音を聞きながら、最後のマントルを返す。


あれ?あれあれ?・・完登!





まさかの5.11aクラックオンサイト!!

まあクラックというより、核心はフェースだったんだけどね〜w

二人で喜びあいました。
STさんのビレイのはずだったのに、僕までお土産をもらってしまいました^^;

日が当たるサイドに出て、お互いに愛好会ルートをトライ。

駐車場に降りたところでまだ3時半。
ってことで、お互い気になっていた前烏帽子岩に探検に出かけてみました。




おお〜、これがあの水平飛行かあ!
かっちょいいねえ〜。
結構いいクラックがたくさんあるでないの?




てなわけで、ミズガキは予想以上にたっぷり遊べました^^

今までさんざん濡れに泣いたことを思うと、寒さくらいならね。
燃えるモチベーションと貼るカイロがあれば、まだまだ楽しめそうですよ。


STさん、1日ありがとうございました〜!

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(本日の成果)

エンペラートラバース下部 アップ
アプリオリ(5.11a)OS えのきど先生によると体感5.10dだとか。確かに甘い。でも嬉しい〜!!
不動沢愛好会ルート(5.10a)再 いつ登っても楽しいよねー。

・下部がワイドだから軽装で突入したのだけど、レスト中ずっと震えていました。クライミング中に初めて「疲労凍死」という言葉について考えましたw これからは服装とかカイロの枚数とか考えようっと。

・"a priori"って、先験的っていう難しい概念ですが、「言わずと知れた」「説明の必要がない」くらいな感じの軽いニュアンスでも使うようですね。数学用語として時々使っていた記憶があるんだけど、全然意味を履き違えたまま卒業してましたw 「核心は言わずとも明らか」・・ってことなんでしょうか?

2015年10月30日金曜日

冬のおとずれ


翌朝は始発バス目指してとっとと下山。





暗く重たい雲、ごうごうという風のうなりが、天候の崩れを感じさせる。
昨日までとうってかわって、空気は肌を刺すように冷たい。

今ごろ稜線の小屋にいたらどうなっていたことやら。




それでも明神岳はキレイなモルゲンロートを垣間見せてくれました。


ザクザク降りるとあっという間に上高地へ。
穂高の稜線は厚い雲の中でした。

閑散としたバスターミナルの土産物屋で、「槍のお土産がないよ〜」と悲しむジョー。

まあ上高地だからねえ。だから槍ヶ岳山荘で買いなさいってあれほど・・





天気は北からどんどん悪化してきて、駐車場に着く頃には細雨がぱらついていました。

帰りは松本のGSまで寄って給油。
例のおじさんに無事登山できましたというご報告とお礼をしました。




ココロも満タンに・・・出光石油でした(笑)。

真っ先に車の調子を心配してくれたのはプロ魂ですね〜。
本当にありがとうございました。

なんだかんだで、心温まる山旅だったなあ〜。



・・と思ったら帰り道で覆面様にやられ、財布が厳冬期入りしたのでした。


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<行動記録>

10/28
上高地ターミナル 12:30
河童橋      12:40 - 12:50
明神       13:15 - 13:20
徳沢       13:55 - 14:10
横尾       14:50 - 15:00
槍沢ロッヂ    16:00
(行動       2:30)

10/29
槍沢ロッヂ    4:45
坊主岩小屋    7:40 - 7:45
槍ヶ岳山荘    9:00 - 10:00 装備装着、最終確認等
槍ヶ岳山頂    10:50 - 11:30
槍ヶ岳山荘    11:50 - 12:40
槍沢ロッヂ    14:50 - 15:15
徳沢園      17:00
(行動       12:15)

10/30
徳沢園      5:45
明神       6:15-30
上高地ターミナル 7:00
(行動       1:15)


<感想と反省>

個人的には何度も行った槍沢ルート、稜線までは夏山に毛が生えた程度の一般道。新しい挑戦は何もないように思えたのですが、大人気の山域を貸し切りで満喫するというレアな体験ができました。難易度と関係なく、山は単純に楽しいですね。記録が少ないこの微妙な時期、北アのコンディションを肌で感じられたのが大きな収穫かな。誘いがなければ、こんな時期に山に行こうなんて決して思わなかったので、ジョーに感謝です。(って見てないと思うけどw)

・今回のコンディションに限って言えば、坊主岩小屋あたりから稜線まではチェーンスパイクがあれば十分。穂先以外は特に危険を感じる場所はありませんでした。

・穂先への装備としては、アイゼン、シングルアックスに加えて、30mロープとハーネス、鎖支点が出ていることを当てにしてクイックドローを持って行きました。装備としては特に過不足を感じることはなかったと思う。雪が深くなると、よりアルパイン的な準備がいりそうです。

・冬山と夏山の天気が入れ替わるこの時期は、天候の読みが大切だと痛感。最悪の想定としては、急な大量降雪による雪崩、みぞれに打たれての濡れながらの行動、ホワイトアウトによるルートロストなど、いろいろな状況を心配していました。実際は悪天日の合間を縫って行動したことで大きなリスクは避けられたように思う。29日はほぼ春山でしたが、翌日の山荘ブログを見ると大変なことになっていたようですね。

・またジョー氏の歩行技術がしっかりしており、登行スピードも想定よりかなり速かったことで、計画に余裕ができたことも大きかったです。

・唯一、反省というか判断に迷ったのは、穂先での判断。ロープを出すべきじゃないかとは考えました。彼自身は非常に足取りが安定していた上に、「ロープがなくてもいける」という明確な意思を伝えてきていたので遠慮したのですが、僕の感覚では「できればロープを使ってほしい」と思うコンディションでした。あくまでオウンリスクという共通理解だったので、最終的には彼の判断を尊重しました。

・彼の判断で事故をおこしてしまったら、それはどうしようもないと思う反面、やはり後悔するだろうと思います。(色々と迷惑もかかるし、奥さんも知っているし)。彼が「連れられ登山」のメンタリティにならないように、あえて自分の判断で登ってくれという側面を強調していたのですが、穂先だけはリーダーである僕の判断でロープを出すからね、と伝えても良かったように思います。

・この辺は、雪山リーダーとしての力量が全くない自分が、素人の「連れて行って」リクエストに応えようとしたことによるジレンマなのかもしれない。自分は全てに責任を持つリーダーなのか、彼の山行パートナーなのか、微妙な立ち位置でした。

・いずれにせよ、僕自身に人の面倒を見る技術と力量がないので、どんなレベルだかわからない人を山に連れて行くような登山は今後やらないと思います。ある程度の経験値や安全感覚を共有しているということが定かではない人と、練習山行を一度もせずに雪山に行くべきではないのですね。

・反省といえば運転。タイヤだけでも十分痛いのに、追い越し車線走り続けたら違反だなんて〜(涙)。確かに早く帰宅したくて急いでいたので、自分が悪い。軽微な違反ですんだだけよしとします。これからは安全運転キャンペーンに努めよう。

2015年10月29日木曜日

あの穂先へ


翌朝。
ヘッデンの明かりで弁当を食べて、暗いうちに小屋を出発。





快調にペースを上げ、大曲りを過ぎたあたりで、霧が晴れてきた。

大喰岳あたりだろうか。
白く輝く3000mの稜線が目に飛び込んでくる。




ハイマツ帯に入ると、ところどころ雪が見えはじめる。





まるで残雪の山みたいだけど、このまぶしさは紛れもなく新雪の色。
冬シーズンの始まりなんだな〜。

高山慣れしていないジョーは苦しそうだが、それでも初めて見る3000mのランドスケープに興奮を隠せないようだ。よかったね〜。





坊主岩小屋あたりでチェーンスパイクに履き替える。
足元に踏みしめたトレースは、このまま根雪となって来シーズンまでここにある。
なんだか不思議な気分。





あっという間に肩の小屋へ。
さて穂先は真っ白。どうしようかな。

小屋の人によると、穂先へのルートは北側を経由するから割と凍っています。
行けなくはないけど、危険なので自己責任で・・という話。

そういや途中ですれ違った2名とも、口を揃えて穂先には上がらなかったという話だったなあ。

とりあえず軒先でアイゼン、ピッケルを装着し、ハーネスを履いてもらう。

・核心部はロープ確保が可能(主に最後の鎖場・ハシゴ場)
・ただし支点がない下部の岩場、あとトラバースは確保がむづかしい
・岩とベルグラだらけで落ちたら滑落停止はほぼ不可能
・登れても降りられないと詰み
・というわけで危険を感じたらその時点で敗退

という点を確認して、行けるところまで行ってみようとなりました。




穂先の基部で簡単な練習。

アイゼンは急斜面で360度回ってもらい、どの局面でもサイドの片効きを避けること、パンツに引っ掛けて滑落死亡した例があることなど諸注意を伝えます。

降り方は、フロントポイントを効かせてクライムダウンするのが一番確実だよ、ということで何度かやってもらいました。




踏み跡が全くなく、ちょいと下部で迷ったけれど、その後はサクサクと登る。
核心部はほぼ全面にわたって鎖が出ていたので、一度もロープは出さず終了。ジョーはゴボウで登りきりました。なかなかやるじゃん。




頂上へは、もちろん彼に先に登ってもらいます。






いやーよかったね!

ちと時間がかかってしまい朝の好天を逃したのが残念だけど、初めての装備をつけて練習したりしたので、上出来でしょう^^




眼下の小屋は天空の城みたい。

帰りもかなり注意を促しながら慎重に下山。
ジョーはロープはいらないということで、ゴボウながらもうまく降りて行きました。

ま、せっかくロープを持ってきたので、僕は懸垂下降で降りたのですが(笑)。




てなわけで、無事に帰還。最大のミッション完了です。
ほっ・・。

彼の実力や、雪のコンディションが読めない中、敗退の可能性が80%くらいあると思っていたのでヨカッタよお〜。せっかく日本に来て登頂できなかったらかわいそうだもんね。

核心が短い槍だからこそ、なんとかなったかな。これがアイゼンをつけて東鎌縦走だとかになると、ちょっと無理でしたね。




さようなら槍ヶ岳。

途中でダケカンバの杖とスニーカー(!)で斜面を登ってきた外国人の若者がいたので、軽く止めようとしたけど、とりあえず行けるところまで上がるというのでそのまますれ違う。明日は嵐だけど大丈夫なのかよ・・。アイゼン持ってないっていうし。


小屋閉めの槍沢ロッヂで、宿泊客やスタッフの方達と少しだけおしゃべり。




もう少し行けそうだねということで、高度を下げる。
明日、雨が降ったら嫌だもんね。




先ほどの風景が嘘のような晩秋の樹林帯。
明日は雪をかぶるのかな?





そんなわけで、徳沢園に宿泊することに。

ここなら上高地まで1時間ちょっと。
嵐が来てもどうにでもなるだろう。




よかったねジョー!
12時間行動、お疲れ様でした!

2015年10月28日水曜日

上高地を走る


さて、翌朝コンビニで行動食を仕入れていざ出発。
と思ったが・・不注意で後輪が縁石を巻き込んでしまいました。

げげげ!やったかな?

・・・500mもいかないうちに後輪がガタガタ言いだす。




こりゃバーストかもしれんな。

ハザードをつけながらソロソロ運転して最寄りのガソリンスタンドへピットイン。




やっぱりただパンクではないのでタイヤごと交換だそうだ。

ところがこの時期の松本には、夏用タイヤが置いてないらしい。
ならばこの際、高価なスタッドレスでも・・と思ったがサイズがあわず、万事休す。

このままだと移動もできません。

GSのおじさんがまるで我が事のように心配してくれ、近隣のメーカー営業所が空くのを待って、夏用をなんとか持ってきてもらいました。





予想外の痛い出費でしたが、なんとか復帰。
慣れない英語で話していると、普段に増して注意が散漫になるなあ。
今後はくれぐれも注意しようと思います。

ジョーは心配して「半分出そうか?」とまで言ってくれたが、どう考えても自分のミスなので丁重に辞退。「大急ぎで修理しました。山は今からでも間に合いますか?」とまで心配してくれたおじさんに何度も御礼を言って出発しました。

いきなりのアクシデントにぺこぺこに凹んでいましたが、優しい言葉に救われますね〜。


そんなこんなで出発が遅れたので、上高地に着いたのは12時半。
槍沢ロッヂに電話を入れると、4時までに来てくれという返事です。




河童橋でお互いに写真を取り合ったりしていると、持ち時間が3時間になってしまいました。あうあう!

ここからはジョーにルーファイを任せ、僕は後ろからついていく形。
万が一、途中ではぐれたら、彼が自力下山できないと困るからね。




地形図の読み方を教えて、チェックポイントを確認。
好きなペースで行っていいよ〜。
ただ時間はないから、できれば急ぎ目でね。


・・そしたら置いてかれるんじゃないかという猛スピードでガンガン歩いて行きました。

お、おう・・もっと遅くてもいいんだぜ。ハァハァ。


よくよく聞けば若い時に、海兵隊にいたらしい。
海兵隊って、あの、一番屈強なアレだよね??

そ、それ先に言えよな〜。ゼイゼイハアハア。



真面目な話、ジョーの足運びはとても安定しています。
アイゼンを履くことを考えて、両足の間を離して歩く練習をするようにね、とだけ伝えましたが、僕よりも下半身が安定している様子で見ていて安心。これなら少なくとも稜線までは行けそうだね。


そんなわけで、4時ギリギリに到着!
槍沢ロッヂ名物の風呂に入って、飯をいただきます。




もう小屋締め寸前のロッジは貸切りでした。

かんぱーい!





さて明日は稜線まで上がり、槍ヶ岳山荘に宿泊予定。
ところが、明後日の天気がかなり崩れそうな情勢となりました。

ひとたび暴風雪となれば我々の実力では槍沢を下ることができなくなるため、明日はピストン往復に変更。天候が安定している明日中に、なるべく高度を下げる作戦です。
稜線からの朝日を見たがっていたジョーには悪いけれど、どう考えても明後日は朝日なんて見れそうにないことを説明して納得してもらいました。


そんなわけで、不要な荷物はここにデポして暗いうちに出発となりました。

疲労と睡眠不足で深い眠りへ。
おやすみ〜!

2015年10月27日火曜日

槍ヶ岳珍道中


ジョー氏から「休みを取って日本のアルプスに登ってみたいんだけど、一緒に行ってくれない?」という、ひょんなお誘いをもらいました。
コリア在住の氏とはかれこれ10年近くの付き合いで、家族ぐるみで何度か食事した仲です。

「10月後半かあ・・。ミックスコンディションだけど、高山の経験あるの?」

「うん。アンナプルナ登ったアルよ」


うそん。それガイドツアーじゃないのかよ?という疑惑もありましたが、せっかく海外から日本の山に来てみたいという熱烈なご希望だし、意気に感じて同行をすることに。

ガイドではない僕は、君の確保はほとんどできないからオウンリスクでね〜、と何度も確認。


槍ヶ岳に行きたいけど、無理なら他の山でもいいよという話。うんうん、最悪の場合は、白馬鑓温泉とか・・ヤリ違いでごめんねw





最初は大天井の冬季小屋を利用して、表銀座縦走を考えていたのですが、

・今年の降雪は結構早そう
・道中に空いている小屋が極めて少ない
・奴の装備・経験が思ったよりなさげ
・東鎌は長いトラバースなので確保が難しい


ということで、日を追うごとに計画が縮小していきました。
ただ彼はこちらの保守的なリスク判断を良く良く理解してくれている様子なので、そこは安心材料。


最終的に「小屋利用での槍沢ルート往復、穂先はジョーの調子とコンディション次第で判断」というところで決着しました。
なんと槍沢ロッヂと槍ヶ岳山荘は、11月初旬まで営業しているのですね〜。





装備リストや計画書、複数の敗退プランを日英で何度も書き直し、微細に渡って確認。
コンディションがいまいち不明なので、念のため厳冬期用の縦走装備をリクエスト。

冬靴とアイゼンとのフィッティングを確認するように伝えたところ、送られてきた写真にコパがないことが発覚。(アイゼンはワンタッチタイプだった)
これがジョーの出発日。ってヲイヲイw


近郊の山道具屋にはコパ付きの厳冬期シューズの扱い自体ないらしく、原宿のICIを伝えて、日本での購入をお願いしました。
僕は僕で、集合日の遅くに会社を終えてから家でバタバタと準備し、深夜12時にジョーを恵比寿でピックアップ。

そのまま徹夜でドライブし、塩尻の健康ランドで仮眠。
朝は雨が残りそうなので、遅めの入山予定です。
槍沢ロッヂまでだからね〜。


道中よくよく突っ込んで聞くと、アンナプルナは「ベースキャンプまでトレッキングをした」という話。

おーい、ソレ卒業旅行とかで行くヤツちゃうんか!!





道中は乾いた道でアイゼンは全然つかったことがないらしい。


「・・ジョー、非常に申し訳ない話をするが・・敗退する可能性は高いと思っておいてくれよな。」

「オー、really??」

噛んで含めて出発したのでした。

2015年10月25日日曜日

届かない手の平


翌日もスッキリ晴れ!
風邪気味の身には応える寒〜い朝です。

今日は妹岩にて、組長、mepanna姐さんが本気トライの予定です。

じゃ、空いていそうな海坊主さんを連行して枯れ木とかいっちゃおうかな〜。
最高のコンディションだし。グフフフ♪

と、心の悪魔がささやく。


ところが。

「海坊主さん、もし私がジャク豆を終わったら、クレジャム触ってもいい?一緒にビレイしに来てくれたら嬉しいな〜」

とメパさん。

「もちろんいいですよ〜。」

と海坊主さん。


あれ、そうなの?みんな一緒なの?





・・もしかして海坊主さん連れて行こうとしたの、バレてた?(笑)


てなわけで全員で仲良く妹岩へ。

よおし、今日こそはみなみなさまの快適クライミングのためにビレイ奴隷に徹しましょうぞ〜。そう、今日のテーマは「無欲の心」なのです。


無私無欲、無私無欲、無私無欲、無私無欲、一攫千金、濡れ手に粟、坊主丸儲け、大判小判がざっくざく・・


ブツブツとマントラを唱え、一切の煩悩を捨てた清らかな心で妹岩へ。




物騒なケルンだが、海坊主博士によると人骨ではないらしい。(あたりまえや)



妹岩はいつもどおりの大混雑。
カサブランカにいたってはすでに5・6人待ちです。

まずは組長やメパさんの登るルートの順番どりをしましょう。そうしましょう。






とりあえず僕はガラガラのジャク豆でアップして体を温めます。
登っていればトップロープも張られまいぞよ〜。

そうこうしていると愛情物語が空いたので、組長のアップをビレイ。
見事一撃でした^^


ちょうどメパ師匠がジャク豆の下部で敗退されたので、回収便を出したついでにビレイに入ります。海坊主さんはオンサイト権を残した方がいいですからね〜。

なんてったって今日のワタクシは無私無欲。
みなさまのために働くkozzzzyなのです。(アピール)




メパンナ姐さん、何度か下部敗退の後に核心を突破〜。パチパチ。

・・と思ったら上の方でワンテンでした。残念。

こういう斜上クラックって、どうもフェースが上手な人に限って割と苦戦するような気がします。斜めのクラックだとクラック特有の足遣いがかなり重要になるというか、フェース的な対処法だとパンプが早い気がします。どうなんでしょ。

朝からずっとビレイしていると寒くなってきたので、マラ岩のスラブを試食。

届け手の平(5.10c)をやってみましょうかね。
ああ、なんて素敵なリーチ系の響き。




と思ったが核心部でドテンション。
バラすだけでも時間がかかりそうだったので、秒速で諦めて降りました。

そ、そう、本日のkozzzzyは無欲なのであります!(うるさいわ)


たまたまS宮さんが龍の子太郎をトライしていたので参戦。
12クライマーのS宮さん、なぜだかこいつは苦手なようで手こずっていました。

うーん、どれどれ?
僕は核心がどうしてもレイバックになるので、今回はワイドムーヴでの突破を目指してやってみようかな。




S宮氏の「落ちろビーム」を背中に感じながら(笑)、必死で突破。
ワイドムーヴと言うにはかなり微妙でしたが、シーズン終わりに宿題を増やさなかっただけよしとしよう。ゲホゲホ。


組長のカサブランカをビレイした後、僕も最後に触らせてもらいました。
カサブランカは何度やってもいい、本当に美しいルートですね。

あ、もちろん木の枝は限定しますからね〜♪





と思ったら、スラブの乗り込みが怖くてしっかり踏んでいました。

しかも激写されてるなんてww
来シーズンはスラブを強化しようかな。


そうそう、帰りの境川でついについにあれを使いました!
もったいなくて1年くらい使えなかったスタンプカードです。




ここに至るまでには、たくさんの方のご協力をいただきました。ぺこり。

メニューは・・迷わず一番高そうなダブルカツカレー(1000円)を指名。





てかキミ、そらデカすぎるがな〜ww
ドンブリ飯と比べても3倍くらいの面積があります。

煩悩のおもむくまま、ひたすらに肉をむさぼり飯を喰らって完食。
海坊主さんの送迎で帰宅しました。


海坊主さん、組長、mepannaさん、2日間大変ありがとうございました!^^
冬シーズンも岩に氷に行きましょうネ〜。

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(本日の成果)

ジャックと豆の木(5.10b/c) 何度やってもジャム筋が疲れる〜
届け手の平(5.10c)×    核心越えられずに敗退。来年な・・
龍の子太郎(5.9)再    レイバックに頼らずにできたのが収穫?
カサブランカ(5.10a)再  ワンポイントのスラブが苦手なの


2015年10月24日土曜日

地獄のジャムサンド


土曜日は、海坊主さん待望の瑞牆ツアー!
地獄エリアのジャイアントジャムサンドをご希望ということで、メフィスト権をお使いになるようです。

はいはい。よろこんで地獄の果てまでお伴しますとも〜。

天候やら何やらで予定が流れ流れ、シーズン末の今日、ついに決行の運びになりました。
天気は1週間前からピーカン、個人的にはシーズン最高のコンディションじゃないかしら?





同行の組長が妹岩をご希望ということなので、同じく妹岩に宿題を残していたmepannaさんにもお声がけをして4名となりました。

4名ってことは専属奴隷契約は解除かしら?ぐふふ。


もちろん戦略的な僕ですから、「先週までにカヌーを終わらせて、今日は無心でビレイしよう」という密かな計画を立てていました。

ところが・・・


(ゲホゲホ)が(ゲホゲホ)で、(ゲホゲホ)となりまして、予定外にカヌーが(ゲホゲホゲホゴホゴホゴボ・・バタリ)






というわけで(どういうわけやねん)、あろうことかジャムサンドのビレイを組長に託してしまいまして、ワシはとっととカヌーへ。
終わり次第ビレイに走りますゆえ、少々お待ちを〜。


核心は3つだったかな。最初が厳しいサムカムなんだよね・・。

と思ったら下部核心はあっさり突破。

ジャムが効きすぎて、むしろ痛い。
どの場所も、先週よりワンサイズ小さくなった感じがする。

おお?もしや今日一撃かも?


しかし、フェース核心がやっぱりムーヴを起こせずにチーン。






いろいろアドバイスを取り入れながらやってみたけど、どうにもしっくりこず。
結局、初日にバラした、パーミングでレイバック気味に上がるムーヴが一番合っているようで、そいつを洗練させることにしました。


しっかし先週と違って、甘いスタンスでも足が掻き込めるからムーヴが起こしやすい!

ワイドもまあバラした通りにやれば落ちる気はしない。
ワイドが下手なので、このムーヴしかない!っていう感じだけど。


まあ、結局は濡れだったのかねー。





よおし、次こそは!
そうこうしているうちに、ジャムサンドを終えた海坊主さんが晴れ晴れした顔で組長と降りてきました。


あ”・・・ww

てなわけで組長さまのビレイで再トライ。






あっさりRP♪
5.11b、2本目ゲッツ〜!

自分的に核心だったダブルクラックは、ナッツを決める余裕さえ全くなく、ガンガンにランナウトして突破w

ま、グランドはない距離なんですケドね・・RPならではの戦術でした(^^;;

組長様、ありがとうございました〜。



てなわけで、時間はまだ4時前。
〆に軽い一本でも・・と思ったところで、駆けつけるmepanna女史。

「そろそろkozzzzy氏がヘッデントライする前に止めようと思ってね。」

訳:明日ワタクシがマジトライなの、当然わかってるわよね〜。そこのアフォ野郎。





あれ?バレました?www
まだ明るい岩場に後ろ髪を引かれながらも、楽しく下山。


カヌーは僕のレベルだと、オンサイトは難しい一本でした。
ムーヴをバラしてようやくRPが狙えるかどうか、という感じです。

そういう意味では、前回雨の中、延々とビレイに付き合ってくれたcherroさんに感謝感謝!もちろんmepannaさん、組長さんにも大感謝でございます。





ん?




う、海坊主さま〜!!!(平伏)

そう、海坊主さん。あなたの呼びかけがなければ、地獄詣ではおろか、カヌーに手を出すことさえなかったかもです。

送迎含めてありがとうございました!
そして念願のジャムサンドOS、おめでとうございます!

何もしてなくてごめんなさい〜(切腹)







晩秋の瑞牆を堪能した一日でした。



夜は組長特製のレタス鍋をつつきながらテントで宴会。

寒いけれど、楽しい楽しい夜なのでした。


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(本日の成果)

オリジナル2P目(5.10a)アップ ロープスタックに悩む。残置ロープの位置が変わったりした?
カヌー(5.11b) 通算4RP     看板ルートを登れるなんて感無量!!本当にいいルート。