翌朝。
ヘッデンの明かりで弁当を食べて、暗いうちに小屋を出発。
快調にペースを上げ、大曲りを過ぎたあたりで、霧が晴れてきた。
大喰岳あたりだろうか。
白く輝く3000mの稜線が目に飛び込んでくる。
ハイマツ帯に入ると、ところどころ雪が見えはじめる。
まるで残雪の山みたいだけど、このまぶしさは紛れもなく新雪の色。
冬シーズンの始まりなんだな〜。
坊主岩小屋あたりでチェーンスパイクに履き替える。
足元に踏みしめたトレースは、このまま根雪となって来シーズンまでここにある。
なんだか不思議な気分。
あっという間に肩の小屋へ。
さて穂先は真っ白。どうしようかな。
小屋の人によると、穂先へのルートは北側を経由するから割と凍っています。
行けなくはないけど、危険なので自己責任で・・という話。
そういや途中ですれ違った2名とも、口を揃えて穂先には上がらなかったという話だったなあ。
・核心部はロープ確保が可能(主に最後の鎖場・ハシゴ場)
・ただし支点がない下部の岩場、あとトラバースは確保がむづかしい
・岩とベルグラだらけで落ちたら滑落停止はほぼ不可能
・登れても降りられないと詰み
・というわけで危険を感じたらその時点で敗退
穂先の基部で簡単な練習。
アイゼンは急斜面で360度回ってもらい、どの局面でもサイドの片効きを避けること、パンツに引っ掛けて滑落死亡した例があることなど諸注意を伝えます。
降り方は、フロントポイントを効かせてクライムダウンするのが一番確実だよ、ということで何度かやってもらいました。
踏み跡が全くなく、ちょいと下部で迷ったけれど、その後はサクサクと登る。
核心部はほぼ全面にわたって鎖が出ていたので、一度もロープは出さず終了。ジョーはゴボウで登りきりました。なかなかやるじゃん。
頂上へは、もちろん彼に先に登ってもらいます。
いやーよかったね!
ちと時間がかかってしまい朝の好天を逃したのが残念だけど、初めての装備をつけて練習したりしたので、上出来でしょう^^
眼下の小屋は天空の城みたい。
帰りもかなり注意を促しながら慎重に下山。
ジョーはロープはいらないということで、ゴボウながらもうまく降りて行きました。
ま、せっかくロープを持ってきたので、僕は懸垂下降で降りたのですが(笑)。
てなわけで、無事に帰還。最大のミッション完了です。
ほっ・・。
彼の実力や、雪のコンディションが読めない中、敗退の可能性が80%くらいあると思っていたのでヨカッタよお〜。せっかく日本に来て登頂できなかったらかわいそうだもんね。
核心が短い槍だからこそ、なんとかなったかな。これがアイゼンをつけて東鎌縦走だとかになると、ちょっと無理でしたね。
さようなら槍ヶ岳。
途中でダケカンバの杖とスニーカー(!)で斜面を登ってきた外国人の若者がいたので、軽く止めようとしたけど、とりあえず行けるところまで上がるというのでそのまますれ違う。明日は嵐だけど大丈夫なのかよ・・。アイゼン持ってないっていうし。
小屋閉めの槍沢ロッヂで、宿泊客やスタッフの方達と少しだけおしゃべり。
もう少し行けそうだねということで、高度を下げる。
明日、雨が降ったら嫌だもんね。
先ほどの風景が嘘のような晩秋の樹林帯。
明日は雪をかぶるのかな?
そんなわけで、徳沢園に宿泊することに。
ここなら上高地まで1時間ちょっと。
嵐が来てもどうにでもなるだろう。
よかったねジョー!
12時間行動、お疲れ様でした!
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