翌朝、暗いうちにテント場を撤収。
アイゼンのよく効く雪渓をザクザクと降り続けると、1時間と少しで真砂沢のテント場が見える。
親父さんとしばし談笑して、チンネの情報などを伺う。
ここを撤収する数パーティーに前後する形で再び出発。
相変わらずハシゴが崩れているハシゴ谷・・。
うんざりするような急登に息を切らせる。
さようなら剱岳。
昨年はここで初めてこの山を眺めたんだったな。
ここからは再び沢へ向けて斜面を降りる。
地獄のような長い長いガレ歩き。
一段降りるごとに、役目を終えた荷物の重みが疲れたひざを痛めつける。
橋のたもとで長い休憩をはさみ、再び下山を続ける。
昨年荒れていた内蔵助谷沿いの道は、さらに悪くなっていた。
おそらく毎年の豪雪でどんどん崩壊が進んでいるのだろう。
いったんスリップすると、足元の激しい流れの中へ転落しそうな危ういトラバース。
ついにあきらめて鎖を頼る。
毎年毎年、こんな奥地を整備してくれている人がいる、というのは頭が下がる思いだ。
ようやく沢に出たところで、痛む足を冷やして大休止。
もう体力的にも精神的にもヘトヘト。
はらりさんもかなり辛そうだ。
しかし、僕たちには最後まで一緒に下山するという大目標が残っている。
お互い気合いを入れ直し、これでもかという悪い道を乗り越えると、ようやく黒部川との出合へ。
ここから川沿いを登り返すこと1時間弱。
ようやく見えた〜!
ケシ粒のような観光客の姿。
あの上に登り返さないといけないことはわかってたけど・・・遠い!
最後の休憩。
水しぶきを乗せて吹き抜ける風が心地よい。
右岸へ向けて橋を渡り、果てしないつづら折りを登る。
二人ともただただ吠えまくり、上にいた観光客から「この道ってそんなにヤバいんですか?!」と驚かれてしまう。「いえ、僕たち剱岳から来たので疲れてるんですよ」と答えてまた驚かれる。
そしてついに終点へ。
このトンネルの向こうは観光地だ。
今一度、立山連峰を眺める。
今朝まで手を伸ばせば触れることができた峰々が思い出される。
日光にさらされ続けた首筋は火傷してしまったようだ。
ふくらはぎには小さな震えを感じるし、真っ赤になった足の小指は、一刻も早い解放を求めている。
汗でビショビショの腕には道中の藪に引っかかれたり虫にかまれた痕がいくつも残っていて、かゆみがおさまらない。
あの山にしごかれて、少しは成長したのだろうか。
性懲りもなく、遠くの景色の中に戻りたいと考えている自分がいる。
そういや昨年もここでそんなことを考えた気がするな。
劔沢からの三日間の旅を助けてくれたはらりさんの杖ともお別れ。
はらりさん、本当に本当にありがとうございました!
今度は約束通り、一緒に下山できて本当によかった。
最高の思い出ができました。
また楽しく厳しい山にいきましょう〜。
お二人とも疲れてるけど楽しそう。
返信削除cherroさん、スポーツのような出し切った感がありました。もっと強くなりたいものですねー^^
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