今日は相沢奥壁〜♪
久しぶりの山はヒイヒイ言わされました。
日頃登ってないとキビチー!
昨年は擬似リードが精一杯だったエイプリルフール。
今回はリードできるかも?とひそかな期待をしてやってきました。
ま、4人パーティーだし、取り付きも混んでいるから、時間的に登れても2・3本というところ。朝のアップでやばそうだったら、リードはなしってことにしようかな。
というわけで、S原さんにトップロープを貼ってもらって早速トライ。
問題なく登れるけれど、ここはなんだかプロテクション作戦が難しそうだなー。
昨日より氷質がよいのと抜け口が綺麗につながっているので、リードトライはなんとかなりそう。
てなわけで、朝のラインより潤沢にスクリューを打てそうな左のラインへ移動。
唯一の不安は2段目にある滝の中程が、全体的に白く変色して崩れそうに見えること。
そこはなるべく避けて、右側の凹角に逃げようというプランで出発!
2段目についたので、硬そうな基部を選んでプロテクションを取る。
あと一段上がれば、氷が安定している右側奥に回り込もう。
やや正面からピラーを抱え込むような形で左アックスを打ち込む。
右へ移動することを考えて、氷柱の右奥気味を狙い、右手でアックスを叩き込む。
その瞬間、アックスから下側にある氷塊が唐突に落下してきた。
両手をバンザイ気味に広げているせいで、全く身動きが取れない。
右目に重い衝撃。
脳震盪のような軽いめまいに耐え、深呼吸。
・・・恐る恐る右目を開けると、視界の端が急速に曇っていくようだ。
恐怖に耐えて、慎重に1歩クライムダウン。先ほどのスクリューでテンションをかけてもらいながらバックアップを打って敗退。
どうやらサングラスの破片でまぶたを切ったらしく、視界が曇っていたのは流血のせいでした。(夜間病院で診てもらいましたが眼球には異常なしとのこと。同行された皆様にはご心配をおかけしました)
最後に自分がミソをつけてしまいましたが、一緒に同行してくれた方たちの明るい雰囲気のおかげで、笑いの絶えない楽しいツアーでした。みなさんが色々と暖かくフォローしてくれたおかげで、落ち着いて下山することができました。
K坂さん、S原さん、M田先輩、ありがとうございました!
---------------------------------------
(反省と考察)
ゲレンデのような場所とはいえ、やっぱりアルパイン的な心構えがいるエリア。山でいざ怪我をすると大変なことがあらためてわかりました。
こんなことになって恥ずかしい話ですが、色々と迷惑もかけたので、自戒を込めて自分なりの考察を書いてみたいと思います。
サングラスは非常に軽いもので、ほとんど耳に引っかかっているだけの状態でした。山用のグラスで、安物ではなかったように思うので、プラスティックレンズはそれなりの強度を考えて作られているはずだと思います。
そのサングラスを吹っ飛ばすことなく、右側のレンズが3つに割れたところを見ると、おそらく非常に強い垂直のインパクトフォースが右目の一点に集中したのだろうと思う。受傷後も左側は耳に引っかかったままでした。
鋭い形に割れたレンズの破片がまぶたを切ったようです。
落氷ばかりはどうやったら避け得たのかはわからないけれど、いくつか考えることがあります。
・サングラスは必ずつけたほうがよい。直接打撃をくらったら、眼窩底が折れた可能性さえあったように思う。
・バイザーもつけようかな。上手い人がつけているから憚っていたけど、むしろ自分のような素人がつけたほうがよいような気もしてきました。
・アックスの振り方によって、自分の顔に氷を落とすことがあることがわかりました。正面から振ったアックスの上から氷が落ちた場合、自分の腕の後ろに顔が隠れるのであまり顔に当たることがなかったのだけど、今回は目の前の氷壁を抱え込むように右手アックスを右奥にヒットさせたため、手前側に崩れてくる氷塊をまともに顔で受け止めることになってしまった。この手の局面はあるけれど、こういう形で怪我をする可能性を知っておくのが大切ですね。
・バンザイしてしまうと、こういうリスクもあるのだなあと思いました。伸びきっているので顔を逃がすことができなかったです。
・おぼろげな記憶だけど、とっさに頭に落ちてくる氷を避けようと頭部を後ろにのけぞったので、まともに顔に当たったように思う。ヘルメットを信じて頭で受け止めたほうがよかったのかも。予想以上にデカイ氷塊が抜けたので、頭で受け止めるのが怖くてとっさに避けた気がします。この辺は如何とも言い難いかな・・。
・崩壊しそうな場所に入る前に、あらかじめスクリューを連打したのは正解でした。まだ初心者の自分は、恥ずかしがらずに多めにスクリューを打ってもいいのだなと思いました。相手は氷だから、リスクファクターが読めないところがどうしてもありますね。「スクリューが足元にあるから落ちても大丈夫」という感覚はかなりの冷静さを与えてくれました。
・パニックを起こさず敗退、自力下山できたのはよかった。冷静にケアしてくれた同行者たちに感謝!
・受傷後、取り付きに戻ってから結構あたふたしました。状況を確認すること、止血すること、水で洗うこと、防寒すること、下山するために装着したギアを外すこと・・とやるべきことの優先順位をめぐってやや混乱気味でした。アイスだけに限らないけれど、こういう緊急時の訓練をできる機会があれば、一度やっておいたほうがよいですね。
次は来シーズンになるかもですが、今度はもっといい準備をして遊びに来ようと思いました。