2016年1月11日月曜日

丁寧さを学ぶ


かつて「デキるクライマーはロープさばきが丁寧」みたいなことをI塾長が話されていました。

トラブルの出現頻度が非常に低いから、テキトーにやっていてもいいのだけど、ちゃんとできていないとまれに致命的なトラブルが起こります。厄介なレアケースをわかっていて、ちゃんと対処ができるというのは、かなり経験が必要なことなのだと思います。(ってことが腹に落ちるまでに、1年以上かかったけど)


カム回収が上手というのも、その手の「渋い」技術だと感じます。できなくてもそれなりのクライマーに見えるけど、やっぱり経験がある人はトラブルが起きた時にも強いですね。





実はこの日、満を持して臨んだカム回収に失敗・・とてもありがたいことに、ベテランクライマーが助けを買って出てくれました。「人に後始末をお願いするなんて、お前のクライミングは全く他力本願だな」と言われると返す言葉もありません (_ _)


あ〜いろいろご迷惑をかけてしまったなあ。


・・って落ち込んでいても仕方ないので、何より次に繰り返さないことが大切!
自分メモとして気づいたことを書き留めておきます。

<学んだこと>

・まず落ち着く。姿勢が苦しいだとか、ビレイヤーに悪いだとか、日没が迫るとか、いろいろと焦る要素があるときほど、これが大切。じっくり準備をして、さらに途中カムがずれて状況が変わったら、一旦休止して作戦を練りなおす、くらいでよい。

できる限り最良の体勢を作り、必要なギアを全て揃え、回収するまでの作戦を自分なりに整理してから腰を据えて取り掛かる。「とりあえず引いたり叩いたりしてみて、ダメだったら追加の器具を投入したり、やり方を変えたりする」という戦力の逐次投入が最もよくない。(今回最大の反省)






必要な準備としてはこんな感じ。

1)入った方向を想像して、回収する方向をイメージする。「ひとまずここまで持っていく、次はここで角度を変えてここから出す・・」という風に段階に分けてもよい。ノープランでガンガン叩きはじめるのが最もよろしくない。

2)次に、回収する方向に持っていくために、どの向きにナッツキーを入れるか、どの向きにハンマーを叩くか、ベストな位置と方向をイメージ。

3)ナッツキーやハンマーが入りやすい場所に体を固定する(上部に支点工作をするなど)。胸の高さにカムがあるとやりやすい。姿勢に無理があるまま作業を開始すると、余計にややこしくなって時間がかかる。とくにハンギング状態から上側のカムの回収をするときは、苦しくてつい雑になるけれど、そういう時ほど丁寧に。

回収Tipsとしては、

・足場がない場所だと腹筋だけで作業姿勢をつくることになるので、スリングあぶみをつくって立ち込むのも手。簡易チェストハーネスも考えてもいいかもしれないと思った。

・歯は一枚一枚動きを確かめる。どの歯が引っかかっているのかをよく見極める。一枚でも動くようなら、それを手掛かりに回収できるらしい。

・ナッツキーや手を使って、歯を一枚ずつ順次動かしていくことを考える。動かし方には流派があるようだけど、ようはカムが望む方向に動くように歯を少し閉じたり、歯をこじって少しずつ回転させたりする。

・ハンマーは思いっきり叩かない。コンコンと少しずつ歯を動かすつもりで根気よく。

・トリガーはかなり全力で引いておかないと食いつかれてさらに奥に逃げることがある。斜めに引いたり、回したりすると片側が潜り込んでいく可能性があるので要注意。

・トリガーを引くために、ナッツのワイヤーや、専用の器具を使うこともできる。ボディテンションで引き続けると両手が回収作業に投入できるが、ギアを叩きたい方向とトリガーを引きたい方向が大きく違っていることもあるので、この辺は要研究かな?


ま、考えてみたら特別な話はほとんどないですね〜^^;




力技でもなんとかなってきたいままでの回収とは違い、シビアなルートの回収になってくると、ちょっとした「雑さ」がどんどん状況を苦しくするのだなと思いました。岩でも山でも、苦しくて早く抜け出したい状況の時ほど、丁寧に腰を据えてやることが大切なんですね。

自分はアルパイン向いてないかも、とこんなところで思いましたよ。


肝心のスパニッシュダンサーの顛末ですが、緑カムをカチカチにロックさせてしまい、涙目になっていたところ、ハング下まで登ってきたレジェンドが回収してくれました。昨日ギアを差し入れてくれたKGさんとレジェンド夫妻が、なんと心配してバンブーまで様子を見にきてくれたようです。感謝・・(> <)




熱川ダンサー(12b/c)を登って(!)助けに来てくれたレジェンド


後ほどお礼を言ったら、スパニッシュダンサー頑張ってくださいと言ってくださりましたよ。およよよよ〜。

レジェンドの回収を眼前30cmでみられる機会なんて普通ないですもんね。感動したのと同時に、とても勉強になりました。


アストロドームでもT谷さんが行き詰まったところで、周りから超ベテランクライマー達の回収の申し出が殺到。(人徳!笑)






最終的に、Aさんが夕刻のヨレた体で見事回収してくれました。

こんな場末で言うのもなんですが、みなさまありがとうございました。


スパニッシュダンサー、忘れないうちに頑張ろうかな。

2 件のコメント:

  1. クライマーの団結力ってすごいですね。きっといつか私がカムを詰まらせたら、どこからかkozzzzyさんがやって来て回収してくれるに違いありません。

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  2. な、なみだちならいつでも待ってますよ・・
    僕も人が詰まらせたカムをさくっと回収できるくらい修行しなきゃと思いました^^

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