2015年6月7日日曜日

心の持久力


土曜日は家族の用事。日曜日だけでもクライミングしたいなーと思っていたところ、日曜日空いているというはるるさまからご連絡が。
おおう、ぜひ行きましょう〜!

「クラック、それもハンドサイズ希望」というお話。ふむふむ。


さっそく一緒に行けそうな場所を100岩やら瑞牆本で調べていき、最終的には勝手がわかる場所ということで、屏風岩になりました。

はるるには、おしんや不動沢愛好会ルートあたりのハンドクラックをやってもらい、僕はJECCルート(5.11a)にトライしようかな、というプランです。

そうそう、このために海坊主さんに60mロープを拝借させていただきました。(ありがとうございます〜)

お互いのんびりとアップをして、昼ごろから本気トライ。






んで、そのJECCルートがですよ。

なんと全長45m。

あの長い長いと言っていた春うらら1P目が30m。
城ヶ崎なら何本分だよ!




まーでも、短くてパワフルなのより、長いのをじんわり登るのは得意だもんね♪

もちろん何が来るかわからないので、マイクロから6番までありったけ持参です。





キャメの0.4〜0.75番は禁断の3本持ち!
あまりに多いので、ナッツだけは勘弁してやりましたけどw



長ビレイ必至ということで、ビレイヤーはるるには全ての防寒具をご提供しました。
なんせ今日の不動沢は寒いのよ〜。







-------------(以下は顛末記。OS注意)--------------




さて、ワイドから順調に高度を稼ぎながら上がっていく。ゲロ重い・・。




クラックに入ったあとは、カムを次々に回収しながら前進。
5mほどの場所で予定どおり岩角にスリングを巻き、さらに厳しくなってきたあたりでポツポツとカム残置。屈曲にも細心の注意を払ってガンガン延長。






15〜20mほどでブランクセクションの薄かぶりハングへ到達。
マントルを返そうとしたら、甘い核心ワイドハンドが濡れている。





カムとロープで体が重い。行きつ戻りつしているうちにパンプしてしまい、ランナウトの恐怖に負けてテンションコール。


ちくしょー!!!
こいつが核心ってやつか!?


痺れるボルダームーヴでここを抜け、さらに上部のハング下へ。

ここまで25m〜30mくらい。ここを越えたらビレイヤーからも見えないゾーンに入る。
実はここからが本当の恐怖核心だった。


ハング下で大レストして、手持ちのカム二つをセット。ハング上からドカ落ちする可能性があるので、流動分散としておく。延長が長くなって、より大きく落ちるのが難点だけども、まあこの高さでの1mは誤差だろう。





何度かのテンションを挟みながら、意を決して甘いフレークを掴みながらレイバックでハング上にせりあがる。最終支点のビナからは2、3mのランナウト。

自分は極度の恐怖症なので、こういう場面では絶対に墜ちないか、最初からランナウトせずに墜ちることの二択しかない。もう2m上のガバを掴むまでは絶対に墜ちない、という計算で行くのだ。

ところがあまりのロープの重さに、感覚的には絶対できるはずのレイバックムーヴのバランスがとれない。
なんとか歯を食いしばり、粒カチに足を張って立とうとするのだが、少し上がるごとにロープの抵抗で体がめくれようとする。指はじりじりと甘いフレークからはずれそうになる。

少しでも指が外れたら、体幹の力を上回る重力で、体が裏向けに回転するだろう。
もうどちらの手も離せない。


危険信号が頭に鳴り響く。

指が開くのが分かるが、この姿勢を堪えるのが精一杯。
これがセミというやつか・・。


支点をずいぶん下に作った自分を恨みながら、大声でテンションを叫ぶ。
重いロープに強く引きずられるようにして体がぐんと加速するのを感じ、ぎゅっと目をつぶる。


血液が心臓の中からこぼれ出すんじゃないかという浮遊感。



・・・・・


そっと目を開ける。
止まった・・。


指が切れた程度で、大きな怪我はない。
テープを真っ赤に染まった指に巻きつけ、息を切らしながら辛い登り返しをする。
ここから長い長いレスト。


次、思い切って上にあがるが、先ほどより高い位置から2度目の大墜落。
あと少しだったようにも思うけど、長時間ビレイへの申し訳なさと、大墜落の恐怖で気持ちが切れました。





怪しいカムをたくさん取りながらそろりそろりとA0突破。


最後は10mくらいのワイドセクション。
ここは意外に堅調に進んでトップアウト。


いやーはるるさま、長ビレイ、本当に申し訳ございませんでした・・。


帰りは2段の懸垂。
斜めにかぶった壁での懸垂や回収は技術的な難しさがあって、大変なことになりました。

最初の頃の城ヶ崎を思い出すようなテクニカルな懸垂でしたが、ビレイヤーはるるの知恵と助けでなんとか全部回収。

1日2本はできる、なんておもっていましたがとんでもなかったです。
一つ一つのムーヴはこなせると思うのですが、とにかく想像を絶するストレニルート、そして恐怖ランナウト。修行して出直します。






-------------(顛末記終わり)--------------



降りたあとは不動沢愛好会ルートで、はるる渾身のトライ。

もう何時間でも何本でもビレイしますからね〜。

カムが取りやすく、定期的にレストポイントがあるルートだから、慎重派のはるるには向いていそう。5.10aは初めてのトライだったようですが、行きつ戻りつしながらも着実に進んでいき、残り4〜5mくらいまで迫ってから痛恨のテンション。
惜しい〜!!

あと1日・2日くらいトライするチャンスがあれば、十分グレード更新できますねー。


下山後は境川でたくさんの塾生チームに会ったりして、帰途につきました。


はるるさま、本当にありがとうございましたー。
次、グレード更新できるといいですね!



----------------(本日の成果)----------------

・不動沢愛好会ルート 1P目・フレークvar.(5.10a) アップ

・JECCルート(5.11a)
 瑞牆の5.11は本当に重いなあ。物理的な意味でも。
 腰に重りをつけてレイバックの練習をしたほうがよいのかね・・

2 件のコメント:

  1. ナイスガッツ!
    JECCは、超オススメですね。
    ムーヴ的には易しいけれど、マルチ顔負けの持久戦です。

    ただ、落ちるときにテンションコールをすると、ガッツンビレイをされるリスクが高まります。
    そうなると、フォールした時の体勢が難しくなり、失敗すると大怪我も有り得ます。

    そういう意味では、目をつむったのも良くないと思います。

    安全なところで、足元1m以内くらいのフォールも体験しておくと違いますよ。

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  2. 塾長ありがとうございますー。
    持久力はあると思っていたのですが、自信が砕け散りました。
    ビレイヤーに申し訳なかったです。

    何も言わずに墜ちるよりはビレイヤーに伝えて墜ちた方がよいかなあとは思っているのですが、たしかに「テンション」だと張られやすいので、「墜ちまーす」でよかったのかもしれません。目をつぶったことといい、心の余裕がありませんでした。
    なおロープが屈曲していてほとんど張れず、結局はロングフォールしました。意味がなかったですね^^;;

    今回は、振られや激突のリスクが少ないハング上からの墜落だったのですが、積極的にガッツンビレイされたくない場所(マザークラックの抜け口など)では事前に言っておくようにはしています。無言で墜ちてもガッツンされるときはされるので・・。

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