土曜日。出張先の松山で眠い目をこすって目覚める。
仕事で何度か道後温泉に泊まったので、一度くらいは温泉に・・と思っていたがやはりの寝落ち。狭い部屋で立ったままシャワーをすませて、慌ただしく空港へ走る。
疲れた体で重い荷物を引きずって東京へ戻り、登攀装備を慌ててパッキング。
あずさに飛び乗って小淵沢へ向かいます。
明日はシーズンラストのアイス講習〜!
日曜日は決行するかどうか、微妙な予報でした。
松山から小淵沢まで来て、もし当日中止となったら打撃がデカイ〜!ということで、2日前の時点で「止めるならスパッと中止」「行くなら敗退でもいいので入山はしてみる」というチョイスにしていただきました。
ところが、直前になってまさかの快晴。
やめなくてよかったねえ^^
敗退でもいいので決行という判断をしてくれた、同行のメパさん・Tさんに感謝!
というわけで、塾長、メパさん、Tさん、知り合いのクライマー陣と、飲んだり食ったりして気分良く就寝。
翌朝は仮眠所から出発。
あれ?
二日酔いに疲れが加わって、体が極度に重いよ。
今日はゆっくりしたいなあ。
でもシーズンラストだしなあ。
しかし足が重いな。
酒、飲むんじゃなかった・・。
お?
阿弥陀岳がくっきり見える!
ヒャッハーww
体はボロボロなのに、ズンズン歩いてあっという間に南沢小滝へ。
やっぱり山バカなのでした。
さてさて、何も知らずに始めたアイス講習もシーズン3度目♪
今日のひそかな目標は三つです。
・前回おぼえた足使いを定着させる
・プロテクションを取るスムーズなやり方を学ぶ
・アックスの適切な振り方を意識する
(怖いからといって無茶苦茶に叩かない、先端を欠けさせない)
まあこの辺が身についてきたら、リードが見えてくるよね。
過去の講習だと、「今日中にリードするのだ!」と息巻いていたり、思ったより進行しないとしょんぼりしてました。
しかしアイス講習では、自分でも信じられないくらい期待値が低いです(笑)。
たぶんアイスに対してまだ半信半疑というか、自分がのめり込むかどうかわからないなあ、ということなんでしょうか。
モチベーションは高いんだけど、その向かう先が、「目標の攻略」というより「とりあえずやり続けてみること」なんだろうな。
最初のボルダーは間違った腰引け姿勢になってしまい、いきなり腕がパンプ。
何度か塾長のアドバイスをもらううちにようやく形になってきた。なるほどなるほど、腕を伸ばせばいいってもんじゃないのねー。
そして恒例の擬似リードの後、おもむろに「kozzzzyさんリードやってもらいます」とのお達し!
え?そうなの??早くないですか?!
ま、そうとなったら攻めたくなるのが氷バカ。
先ほど弱点ラインをやってしまったので、同じラインの反復だとあまりにもつまんない。かといってカンテ沿いのガチラインはありえないし・・。
というわけで下半分は弱点を、上部で余裕があれば攻めるラインに入るというプランにした。
上部は足元が抜けているので、プロテクションさえ取れたら最悪ガチ落ちでも助かるだろう。しかも、いつでも元の弱点ラインに戻れる。
初めてのリードで最弱点以外を行くとしたらこれしかない、というライン?
計画通り、抜け口で高めにプロテクションを取り、思いっきりギリギリを攻めたら・・見事にズルっと足が滑ってアックスだけで耐えました。ビレイヤーのメパ姐さんには申し訳なし。
うーん。まだまだ最弱点野郎ということですね。
トホホー。
ともあれノーテントップアウト。
午後の南沢小滝は予想外にガラガラ。ルートも短い。
しかもメパ姉さんの仕切りでみんなキビキビと動くので、今日はグルグル順番が回る。
そうこうしているうちに、なんと二回目のリードとなりました。
よーし、次はもうちょっと攻めちゃお〜。
右壁の立ったラインに挑んだが、慣れてきたせいか今度はスムーズに完登!
塾長検定でIV+くらいとのことでした。
グレードはともかく、核心が短いというだけで、技術的にもプロテクション的にも色々とごまかせます。この辺はクラックとも似ているんだね。
同じIV級クラスでも、西上州のでっかいラインを行くとしたら、タクティクスがもっとシビアになりそうです。
続いてメパンナ姐さんも本気リード。
こちらも無事に完登!!
お互いにリードまで届いてよかったですね〜^^
これで来年は色々と遊べそうですね!
最後にトップロープ1本どうぞ、ということで、塾長設定の鬼ライン(ミックスVI級)をトライ。
ドライはキライ〜!ベルグラコワイ〜!死ぬかと思った〜。
でも氷柱に乗り移るムーヴがかなりテクニカルで楽しかったです。
上部でテンションコールしたような気がするのだけど、塾長が「まだまだー!テンションかかってない!」と言ってたので、ノーテンということにしておきますww
んなわけで、暗くなるまでしっかり遊んでシーズン終了。
今日の目標だった、足づかい、スクリュー、アックスともにまずまずの出来。あとは定着させるために数をこなさないとですね。
まさかのリード解禁で欲が出てきたけど、そろそろクラック戻らなきゃだなー。
んー、でも楽しかったからもう一回くらい行ってもいいかも・・(ボソ)
<個人メモ>
まずシーズン総括としては、思ったより講習が進展してびっくり。
アイスにはリスク要素が多く、まだまだリードは先かなあと思っていました。
ただIV級レベルについていうと、ほとんどは「手足自由のガバホールド」のルートなので、丁寧なムーヴさえ繰り返せたら、実はあまり難しくないかな。「このルートしか味わえない個性的なムーヴ!」ってのは出てこないから、ゲレンデの違いによる影響は、斜度や氷質、スケールなどの違いでしかないのかなと考えています。(きっと中上級になると色々ありそうですが)
これだけ書くとガバの5.8ルートが登れたらできそうですが、大きな違いは二つ。
常時かぶりを受けて重いアックスを振らなければならないから、パンプしないムーヴなどの工夫が鍵になること。また場所によってはホールドがない(壁が切れていたり、つららが脆かったり、アックスが深く刺さらなかったり)という限定が出るので、つねに複数通りのムーヴを組み立れられるような引き出しが必要ということ。
そんなわけで、5.10台の薄かぶりを長距離に渡って登り続けられる程度の、安定したフリーの基礎技術があったほうが有利だなあと思いました。(逆に、IV級クラスならそれ以上はいらないのかも)
次にオブザベと実登攀の感想が一致していないことがまだあるので、もう少しルートを見ながら前もってムーヴを組み立ておけるようになれるといいなあと思いました。
あと最大の課題はプロテクション戦略。
アイスは、体感8割くらいこれに尽きる気がしたのですが、スクリューの手際の良い決め方、回収、素早いクリップなど、もうちょっと研究したい。
手袋やアイゼン、アックスを調整しておくことの重要性も痛感しました。道具には細心の注意を払わないと、壁の中で大変なことになりますね。(うーん、やっぱり人工登攀の香り?笑)
・ムーヴ
ついつい肘を伸ばしてモンキースタイルを取りたくなるが、軽く引き付けることで腰を入れ、足に荷重を逃した方がパンプしにくいことが多い。いつも、「少し引きつけて腰を近づける」オプションを意識したい。モンキースタイルが有効なのは、例えば両足を大きめのガバホールドの上にしゃがみ込むようにおく場合。ようするに腰を後ろに抜かずに、足で維持できる体勢ならば、モンキースタイルでも腕に荷重がかかりにくいか。
・足
つま先はスリップが怖いとついついバレリーナのようになるが、水平に刺すこと。フリのムーヴを作るとき、次の軸足は、現在の軸足の前にねじ込んでもよいが、バックスイングが取れないので、二段階でポジションを変えても良い。
ビデオを見ると、カウンターの足(特に右足)を高く置くという癖が出ているのだけど、三角形バランスも取り入れるようにしたいなあ。
・アックス
プロテクションを決める前には必ずガッチリ効かせる。スクリューを回す際に体がグラグラすることもあるので慎重に。スローパー状態で作業を始めないこと。
肩と肘、手首の関節をしならせて、ヘッドの重みを活かして最後に刃先がフックするようなカーブを意識。ついつい角度をつけすぎて刃先の背中側が氷に当たるような入り方になる。
氷を見定めて、狙いをつけることが重要。闇雲に叩かないで、良い場所に刺す。
アックスは握りしめずに、順手フィンガージャムのようにきめ、肘を落として下方向に引く(ついつい自分側に引きたくなる)。
・プロテクション
一度スクリューをねじって抜いた場合は、ふいて氷くずを飛ばしておくと入りやすい。
ねじ込んだあと、いきなりハンドルを回すと外れやすくなるので、ヘッド部をわし掴みにしてグリグリねじ込み、もう外れないというところを見極めてからハンドルを一気に回す。
パンプするので、スピードが重要。のんびり回さないこと。
右手でぶら下がる方が良い場所(右側の氷が崩壊して右足が取れないなど)は左手できめる方が良い。個人的には左手で決める方が、右手アックス保持になるため安心か。
・道具
アックス、アイゼンは研いでおく。アックスはデナリ研ぎのように、肉薄にして背中側も研いでおくとよい。
手袋は操作に影響するので、手から抜けにくいようぴったり調整する。薄いアンダーグローブの上に手袋をつける場合、現在のサイズだとやや大きいので、再検討。テムレス買おう。
(おまけ:塾長に撮ってもらった写真、小細工したら超絶カッコよくなった 笑)
初リードおめでとうございます!最後の写真もかっこいいですね~。私も今シーズン初めてのアイスでしたが意外と楽しかったです。
返信削除やっている人が少ないだけにやっている人同士は仲良くなりやすいし。来シーズンも頑張りましょう!
cherroさん、
返信削除アイス、凍った滝を登るなんていう非日常感がいいですよね。確かに、少ないと仲良くなれますね。クラック以上に、同じ人に繰り返し会いました^^
写真、褒めていただいてありがとうございます〜。モデ・・じゃなくて加工の腕が上がりました。加工しなくてもカッコよく登れるように頑張ります。