2016年5月14日土曜日

登りたい気持ち



「トライライトの次は春うらら2P目やってみませんか?」

末端壁の女王ことY様からもったいなさすぎるお誘いをいただきました。


えー。いうまでもないですが・・2P目をやるには、アプローチとして、フル30mの春うらら1P目を超えていかなくてはならないのですね。(ひさしぶりにやったら落ちまくったアレ

それに加えて2P目は超歴史的ルート。「5.12aだけど実はお買い得だったウホー!」なんてことは億に一つも期待できません。


「ご冗談を〜あはははハハハ」


なんて言いながら、頭ではシミュレーションを始める。





いやいや、やっぱりどう想像してもテン山なんてものではないな。5.12といってもタコとは全然部類が違うからゼロからのスタートと思った方が良い。二時間はぶら下がったあげく、人工登攀になるのがオチか。(エイドで抜けられたとして、だけど)

ビレイヤーの負担もバカにならない。
テラスは外傾しているので終始軽いハンギング状態。吹きさらしの場所で、トイレもできずにじっとしていなければならない。そもそも一度あがったら降りるのが大変になるので、朝から水や食糧もミニマムに制限するようだ。





こんな場所でこんなポンコツ野郎の長ビレイを尊敬するY様にしていただくなんぞ、あまりにあまりにもったいなさすぎまする〜(><)
もう少し11後半が登れるようになってから頑張りますね。


とまあ、それはそれは長大な言い訳を吟じていましたが・・


「二階はなかなか取り付くのが難しいから、この機会にやってみてはどうかしら?私も最初は強い人に連れて行ってもらったんだから。」


・・・ゴクリ。


ここまで言っていただいて登らないなんて、クライマーがすたるってもんです。
それにヨワヨワクライマーが、こんな上級者と一緒に登れるチャンスなんてそうそうない。


「お・・お・・お・・お・・お願いしますっ!」(心拍数180くらいで)






結論からいうと、恐れていた通りの展開になりました。

OSトライは、下部で長時間落ち続け、あまりにヨレすぎて一旦は敗退。


Yサマはずっとビレイし続けていて寒いはず。
上部のオンサイトは放棄して交代、という選択肢が頭をよぎる。









しかし人工混じりでもいいから自分で全体像をみておきたい、というワガママな思いでトライを再開し、途方もない時間をかけてトップアウトさせてもらいました。


続くYサマは、光の速さでトップロープトライ。

よどみのないムーヴで、眺めているだけで勉強になります。


本当はここの復習トライを何本かやりたかったのではと思うのですが、残り時間を気にされて、たった1本で撤収。本当に申し訳ない結果になりました。



やはり誰の目にも明らかな実力不足・・。

それでもYさんは、「翌日もよければやりましょうね」と快く誘ってくださいました。


(写真はmfさん提供。ありがとうございます!)



うーん・・さすがに連日は迷惑じゃないだろうか?

僕よりずっとずっとオトナなYさんは、気を使ってくださっている部分は確実にあるだろう。僕が同じようにオトナだったなら、ここでスッパリと「明日は止めましょう」と伝えるべき場面な気がします。


頭で考えていることとは別に、自然と目はラインを追いかけてしまう。

あの甘いフィンガーはこらえられるのかな?あのバランシーなレイバックがこなせるのか?立ち上がれなかったのは、オンサイトの恐怖のせいだったのか?技術的に何かが足りなかったのか?


そうだ、今日トップアウトしたから、明日はもう少しスムーズに登れるはずだよな。Yさんにも、もうちょっとトライ時間を残せるだろうし、今日の1トライで終わるよりは、一緒に来てもらった恩返しにもなるかもしれない。

極めて都合がいい考え方に自分が嫌になるけれど、岩バカなのは仕方がない。せっかくのご好意に甘えて許される限りやってみよう。

客観的に見て取り付くに値しなかった自分だけど、せめて挑戦する資格があると感じられるところまで、一手でも迫りたい。今日の感触を忘れないうちに。






Yさんは気持ち良く、私がやりたいって言ったんだから別に気にしなくていい、一緒にやりましょう、ということをおっしゃってくれました。


仮に僕が上部をトップロープで復習したいと思っていたとして、パートナーが1日トライに時間をかけてしまったら・・それも遠い末端壁の二階まで来て手間のかかるビレイをして・・それなりにイヤな空気をつくったりしないだろうか。いや人間ができていない僕は、間違いなく全力でイガミ合うな(笑)。


登攀技術だけじゃなくて色々と学びが多い1日でした。
いつか強くなって、誰かに恩返しできるようになりたいな〜。


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(本日の成果)

春うらら1P目(5.11b)×   アプローチなのに・・下部核心だけは思い出しました。
春うらら2P目(5.12a)×T.O. これじゃトップロープと何が違うのだろうというトライでした。

残念ながらオンサイトはまったく叶わなかったので、あとは短いトライ数で可能性を見出すか、可能性がなさすぎるようならまた戻ってくるか。いずれにせよ梅雨前のシーズンでトライできるのはあと2・3回がいいところだな。



二階テラスは、背の高い末端壁を上から見下ろせるという圧巻のロケーション。下では友人やI塾の仲間がワイワイと登っている風景が見えて、厳しいトライの合間にも少しほっとさせてもらいました。




矢印はペガサスをOSするmfさん。めちゃカッチョいい〜!

2 件のコメント:

  1. めちゃくちゃ気持ち分かります(笑)。
    僕も、何年か前にトライしたときに、下部は粘った挙句に敗退。次のトライで、下部は何回かムーヴを試した後に人工。中間部以降のみ、ムーヴをばらした、くらいの感じでした。

    ただ、途中でランナウトするセクションもあるので、人工混じりでもファーストトライをリードした価値は感じました。
    そこの感想の違いが、ちょっと意外(笑)。上部は、そんなに怖くなかったのでしょうか。

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  2. 石田さん、ありがとうございます。
    たしかに後半の怖いセクションについては、バラせるイメージを持てたのがよかったです!次のトライではまずここからおさらいしようと思いました。ただ、おそらくこのルートのグレードに一番影響していると思われる、下部の可能性があまりにもなさすぎました。。

    ナンと言いますか、「いちごショートケーキの有名店にようやく来たのに、いちごを残してごちそうさまをした」という残念感です。

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