2015年12月26日土曜日

スタイルと目標



KGさんやつっちーさん達に混ぜていただいて今年最後の城ヶ崎〜♪
思い出の「なみだち」へ行ってきました。

あああ、うるわしのタコ様〜(はぁと)。
フェース核心が多い城ヶ崎にあって、真っ向ジャミング勝負の希少な一本ですよね。

全然できる気はしないけど、日吉のルーフクラックみたいに、少しずつムーヴを作っていけばいつの日かできる日がくるかも?という希望をいだかせてくれる一本です。





僕なんぞがまじっても、ツヨツヨな皆さんの貴重なトライ時間を潰すだけなのでモジモジしていたのですが、思い切って最後に混じらせてもらいました。

いろいろ回収の手順もあってのっけからピンクポイントです。

途中のガバハンドまでは数をこなせばつながる予感がありましたが・・実はそんなのは序の口で、核心は5手くらい先のシンハンドセクション。1手たりともばらすことができず、完全に「人工登攀」をして終わりました(失笑)

時期尚早すぎました・・。



(Uさんのトライ)



さてさて、ここから本題。
最近スタイルについてよく考えます。

僕はクライミングに関して言うとかなりスタイルにこだわりたい方だと思います。
ここはI塾で教わった「初登者のつもりで登る」という考え方にかなり影響されています。それだけではなく、性格的に「自力で何かを成し遂げた感」が好き、ということもあるように思います。


具体的に理想を並べてみると・・

・どんなルートでも可能な限りオンサイトを目指したい。
・マルチではできる限り残置無視。
・ボルトルートでもナチュプロで行くのが自然な場所はそうしたい。
・トップロープリハーサルはなし。指定がない限りプリクリップもなし。
・クラックならピンクポイントではなく、RPを目指したい。

(なんて面倒臭いクライマーなんだww)





ようするに、「もし自分が初登者としてこの岩の前に立ったとして、すべて自分で判断して上まで登ってみる」という遊びが楽しいのです。

もちろんトポを見てラインとグレードを確認してしまうのですが。
トポがなくても自然なラインを判断しやすいクラックが好きなのも、そんな理由かもしれません。

自分にとってのクライミングは、「より高難度を競うためのスポーツ」というより、「初登者が成し遂げた冒険の追体験」に近いのかな。







最近、少数ですが、これに例外が出てきました。

・コンケスタドールは1便目から、下のツヨツヨクライマーにムーヴを聞いた
(1テンした後なのでどのみちオンサイトはないけど、自力で解明することを最初から放棄してますね)
・スクラップやタコでピンクポイントトライ
・サイコロ岩やコンケスタなどで、ロアー中にトップロープ状態で核心リハーサル
・昔に行った瑞波では、イヴに触るときにトップロープを借りた
・神風など11クラックで、ロアー中にカムやナッツの良いポイントを探る
・パートナーがナッツ支点でガンガン落ちるような時に、トップロープや上部のカムプリセットを提案

アルパインはややこしいので話から除外したとしても結構ありますね。
まだ思い出せるくらいの数だけど、境界はやや曖昧になりつつあるように思う。







自分なりに「そっちを選択した理由」はあります。(いやホントだって!)
一般的にいうと、「スタイルの妥協を考える局面ってあるよね」って話です。

スタイルへのこだわりとコンフリクトするような要素を、思いつく限り雑多に並べると・・

(1)時間の制約
スタイルにこだわると時間がかかる。回収においても、一回一回のトライごとにリードフォロー回収や、テクニカルな懸垂回収でクリーンアップしてから再トライを出すと、大きく時間をかけることになり、忙しい社会人クライマーには現実的ではないことがある。

(2)希少なチャンス
滅多にこられない場所(たとえば離島や海外)だからどんな手段でも登っておきたい。
ほかに「社会人で家庭持ちだから滅多に来られない」だとか、「フェースはやらないから次いつ来られるか」「ここはパートナー核心だから宿題にしたくない」ってのも含まれますよね。

(3)パートナーの負担・迷惑
たとえば核心がランナウトセクションだった場合、延々とそこでドカ落ちし続けると、パートナーの負担が大変なことになる。
また1と関連して、自分が時間をかけすぎると、パートナーやその岩場に取り付こうとしている他の人の時間、貴重なチャンスも削ってしまうことになる。
他にも、パートナーも未踏のルートの場合、自分がオンサイトにこだわると相手は毎回フラッシュになる、などなど。

(4)リスク
プロテクションが取りにくく、技術的に難しいセクションが下部にあり、グラウンドのリスクが大きいと考えられる時。ナッツひとつだけでドカ落ちになるような下部核心や、レイバックで突破していくガビガビしたフィンガーが続く時など。
とくに自分の限界グレードを大きく超えているかもしれないルートに取り付く時。

(5)オーバーグレードへの挑戦
意図的に、限界を大きく超えたグレードを触って、そのレベルを体感してみようという時。自力突破・回収だけにこだわると、「安全圏」のルートしか触らなくなりがち。


このうち複数が当てはまるような時には、往々にして妥協が発生するのだと思う。
ま、僕のようにスタイルだなんだと考えてしまう人はこんな悩みも多いのですよね。(きっとI塾の人は共感してくれるハズ!)





僕なりに考えて、現時点でたどり着いた方針はこうです。

・それは「目標」なのか「練習台」なのか?

それが心から登りたい「目標」だったなら、なるべく頑張ってスタイルにこだわりたい。なぜならそれこそがクライミングの充実感だから。

それがより遠くの目標に近づくための通過点なら、(それは初登者に対して失礼極まりない行為だけれど)、少しスタイルを妥協してでも完登を優先することはあり得る。

たとえばジム課題だと、ヌンチャクをつかんでも、トップロープ状態でクリップムーヴを試しても、全然気にならない。つまり僕にとってはジムは「目標」ではなくて、より面白い冒険をするための「通過点」であり「練習台」なんですよね。

オーバーグレードのルートを触る時も、それ自体が目標なのではなく、もっと強くなるための「修行の場」という感覚だから、ルートを見極めた上で、まあいいかなと思うことがあります。





さて、難しいのはここからです。

すべての「目標」は、さらに遠くの目標へ向かうための「練習台」にもなっている。


タコは僕にとって目標なのか?通過点なのか?
どっちだったんだろう。





うーん。

予想通りすごく美しいルート。カムも上部はバチ効きです。
今の僕がこれを触るとしたらピンクポイントでしかできなかったけど、もう少し待って、オンサイト狙いで行ってもよかったかもな〜。


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(本日の成果)

シンクロックス(5.9)     アップ再登。にならないくらい怖かったけど。
ヘッドオポジション(5.11a) × うう・・全然できるようになってなかった(涙)
タコ(5.12a)P.P. ×TO      完全なるエイドクライミング。反省。


タコは一冬を捧げてもよいくらい美しいルート。ちょっと頑張ってみるかな。

※この中の素敵な写真はS宮さんに撮っていただきました〜。いつも感謝です^^

4 件のコメント:

  1. ジム課題は期間限定で刹那的… 外岩は半永久に存在する… ってとこですかね?

    スタイルについては色々あると思いますが、最近「宗教と同じかな?」と思う事があります。人それぞれに信じる神は違いますが、信じる神や教義に優劣はないはずです。最終的に信じるものの心の安寧が得られれば良いので。故にどちらが正しくてどちらが間違っているといった議論は一切成り立ちません。最終的に相手と相手の信じる神を尊重(リスペクト)する、この一言に尽きるのかな、と。
    クライミング(アルパイン?)に関していえば、最終的にその岩と、岩(山?自然?)に向き合う自分しか存在しない訳ですから。
    自分の信じる神や、信じる教義(価値観)を押し付けず、お互いをリスペクトすれば、皆がハッピーだと思うのですよ。

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  2. 海坊主さん、ありがとうございます。
    たしかに、ジム課題を引き合いに出すのはいい例じゃなかったかもですね〜^^

    他に例えば・・クラック講習において、トップロープで練習するのはいいことなのか?というようなこともありますよね。現実的に、自分が未知の挑戦をやるにあたって、ある程度の「練習台」は必要だとは思います。それをどこまで許容するか?(自分の中で)ということでしょうか。

    なるほどスタイルは宗教なのですね〜。わかりやすい!
    僕は、自分のスタイルについては悶々とするけれど、パートナーがトップロープでもそれほど気になりません(その人が納得してやっているのなら)。むしろオンサイトを譲ってもらってありがたいです(笑)
    これは自分のクライミングに対する葛藤を書いてみただけで、他の人に押し付ける気持ちはないのです。ま、冒険性にこだわった方がもっと充実しますよ!ってオススメしたくなる気持ちはありますが^^

    あ、マルチだと「二人で登って1つのスタイル」になったりするので、お互い納得できるラインを話し合うことはありますね〜。

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    1. 確かに「こっちの方が絶対オススメですよ~っ」ってのはスタイル含め色々ありますよね。

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    2. ですね〜。お互いの好みは大切にしつつ、うまく影響しあって登れると理想ですよね。なかなか難しいですが^^

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