2014年9月24日水曜日

剱北方稜線ぶらり山旅:その5


テントに霜がつく氷点下の朝。
まだ暗いうちから食事をはじめ、素早くテントを撤収。
北方稜線上で、ビバークを難なくこなせたということが嬉しい。


隣のパーティーと情報交換した後は、池ノ平小屋へ向けて一気に下山。
太陽が出ると急に全身がぽかぽかしてくる。先ほどまで足先が冷たかったのがウソのようだ。



今日も雲一つない快晴。

もう稜線はおしまいかあ、という実感が込み上げてくる。
池ノ平山の方角を振り返る。名残り惜しい。





池ノ平小屋では、テント泊のカップルとしばし話が盛り上がる。このカップルとはこの後、阿曽原温泉でも親しくさせていただきました。

この後は仙人池でお約束のショット。
いつか紅葉の時期に来たいなあ〜!



ここで小屋の若いお兄さんと話をさせていただく。どうやら池ノ平山の隣にあった鋭いピークは、北峰だったらしい。南峰から足が早くても1時間とのこと。僕なら2時間というところか。またいつか赤谷山から縦走してみたいなあ。

ここからは剱岳とお別れ。
沢沿いの危なっかしい道を一気に下り、仙人温泉で英気を養う。雲切新道では、ここまでのトラバース主体の道とは打って変わって、尾根通しのしっかりしたつくりに驚く。元山岳警備隊長という、阿曽原温泉小屋主の考えが伺えるようだ。

仙人ダムへ。
高熱隊道を思わせる高温の坑道を通過し、苦しい尾根伝いの登り返しを経て、阿曽原温泉に昼頃に到着。




酒はまだ余ってはいたが、もう「生存に影響ない物資」ということで日本酒の購入はアリとした。
風呂に入ったり、残った飯をつまみにたくさん酒を飲んだりしながら、山旅の最後の夜を楽しむ。

翌日は下ノ廊下を登り返し。
十字峡は圧巻。沢沿いのスラブ岩まで降りてしばしの絶景を楽しむ。




よくもまあ、ここに道を通そうと思ったな、というのが正直な感想。断崖の中に削り出された狭い通路。ここで落ちたら見つからない。再びピンと張りつめる緊張感。




結局ロープには頼らなかった。完全に人工的なルートにおいて「初登者のこだわり」を持ってみても意味があると思えないのだけど。意地?それとも惰性?

黒部別山沢出合を過ぎると、前後に登山者が増え、徐々に一般道らしい雑然とした雰囲気になる。

クライミング欲をそそられる岩壁の数々。



あのクラックは途中で切れているなあ、あのフェースはピトンが打てるのかな、そんなことを考えているうちに内蔵助谷出合へ。

最後は黒部ダム直下から、泣きそうになりながらの150m登り返しをこなす。なんとか13時のバスに飛び乗ると、子供やカップルの喧噪で、いきなり現実に戻される。

下山。

夢見ていた北方稜線は、物足りないほどあっさりと終わりを迎える。
テント4泊、フル装備でのバリエーション。
昨年、水・食糧計画が失敗したことを思いだす。成長したのかなあ。

少しだけ、周りの登山者と見えている風景が違うような気がした。
次はアルパイン、かな。

さようなら剱岳。また来年!

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