2014年9月15日月曜日

北岳バットレス第四尾根敗退記:総括編


日程:9月13日−15日

<おおよその行動時間>

2:00
      起床、朝食
3:20      白根御池出発
5:15 - 7:15  取り付き~Dガリー~緩傾斜帯(3P)
7:15 - 8:20  横断バンド(歩き+1P) 先行が詰まりはじめる
8:20 - 11:50  下部岩壁~四尾根テラス(4P)
11:50 - 13:30  テラス待機、敗退決定
16:40 - 17:15  取り付き(懸垂5P)、交通整理
19時過ぎ     白根御池帰着

・登攀は残置無視、オールフリー。
・懸垂敗退時は残置支点含め捨て縄、ハーケンなど利用

<反省点>
 やはり相手は山。悪天、道迷い、ビバークも不思議ではない場所。時間的にも場所的にも、小川山のように、何度も気軽に戻って来られるような場所ではない。自分たちが得意とするゲレンデフリーと、アルパイン的な状況との違いが色濃く出たと思います。

・理想と現実のバランス
 最初から敗退前提で偵察がてら行くならともかく、一応は登頂を期待してベストを尽くすつもりならば、もう少し現実と理想のギャップを見極めるべし、でした。またそこで折り合えないなら、行かないという勇気も必要だったかもと思います。
 具体的には、計画段階で自分たちへの期待値が高すぎ(20ピッチ!)、そのために引き受けなければならないことへの覚悟が甘かった。自分たちの現実を冷静に見て、期待値を下げるか、かなりのことになる覚悟を持って行くか、どちらかを選ぶべきだったようにに思う。

・出発準備に時間がかかり過ぎた
 他の記録を見ると、混雑時は1:30~2:30に出発している。お湯を何度も沸かしなおしたりして時間をかけてしまった。

・行動スピード
 渋滞が無いdガリーでも1ピッチ40分。10分変わると20ピッチで3時間以上の違いとなる。
 またアプローチや、テント場帰着の行動も予定より時間がかかった。
 パートナーの体調面があるため、仕方がない部分ではあったかも知れないが。

・ルート判断のすりあわせ(パートナーと全く違うことを考えていた)
 尾根の横にあるのはbガリーですか?とか、我々は四尾根ルートから外れているのでは?とかまあいろいろ・・。bガリーからボロボロの第二尾根に登りつめてしまい、第四尾根まで決死の大トラバースをかましたパーティーもいたので、まあ上出来か。

・シューズ忘れた!
 今回の特大ポカ。責任を取ってアプローチシューズで登攀しました。直前に荷物を整理しなおした時にザックからこぼれてしまった。大反省しています。

・日程のチョイス
 分かっていたけど、連休に人気の初心者バリエーションに行くとこうなるんだなあ。昨年の西穂も数珠つなぎだったし。極端に早く出て取り付きで寒い中待つ、取り付きビバークを視野に入れる、などの作戦も考慮に入れるべきでした。

・山ヂカラ
 山経験の圧倒的不足。事前に想定して覚悟していたはずのことでも、現場で実際に遭遇すると精神的に極度に不安になることがあると痛感。アルパインでは、長時間行動・ビバーク・悪天候など、今までの経験の幅が落ち着きをもたらすんだろうなあと思いました。

<敗退ラインメモ>
・第二コルまで敗退の記録アリ。
 それ以降の敗退記録はネットにはないらしい(Wさん談)
・実際は上からでも上部フランケ、Dガリー奥壁側に逃げられるようだ
・敗退ラインは、落石を嫌い尾根通しに

 まずCガリー方向へ少しバンドを降り、薮のヒドンガリーを15~20mほどの懸垂で薄い踏み跡へ。尾根側に戻る方向に踏み跡をたどり、やや根の浮いている(!)這松を支点にDガリー方向に樹林帯を15mほど懸垂すると、下部岩壁3P目終了点に出る。そこから、大テラス下のリッジライン(4P目取り付き)に出て、横断バンドまで45m一回で懸垂可能。

ここから浮き石の多いピラミッドフェース下部を2P(それぞれ40mくらいか)で降りる。最初の支点はハーケンの効きが怪しいのと、ロープが落石を誘発する場所を通るので(先行パーティーが自分の頭の上に落としていた)、1mほど右側にあるブロックに捨て縄をかけ、残置ハーケン3本でバックアップをとった。いつかブロックが丸ごと崩壊する可能性があるので使う際には再検証してください。

最後の懸垂支点はボロボロの剥離帯。抜けたリングボルトが二本、さらにテスティングしたハーケンが手で抜けた。真新しいリングボルトと、残置ハーケン、さらに自分達のアンクルをバックアップに懸垂(僕の打ったハーケンが効いていなかったと後でご指摘を受けました)

最後は、ライン上の石をどかしながらDガリー基部のチムニー状めがけて降りる。ここは落石の集中帯なので、後続が来る前に取り付きへ降りるか、ハングの真下に隠れる。

最後のロープを抜く時は、五尾根支稜方向に少しあがった場所から抜くと、角度的にも抜けやすく、また落石を避けやすい。

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