2014年9月24日水曜日

剱北方稜線ぶらり山旅:その3


さて、朝3時前におきて準備。長丁場の今日、急ぐとはいえ朝食はしっかりとらなければならない。やはり手際が悪かったりして、出発したのが4時半を回ってしまう。

朝の雪渓は滑るが、この季節にもなるとアイゼンなしで安全に歩ける。





源次郎尾根下部バリエーションの涸れ滝まで到着。
上を見ると、すでに取り付きにいくつかヘッデンが見える。本来のアプローチは平蔵谷まで回り込むのだけど、遠いので涸れ滝側を直接登ることにした。

滝まで詰めて行くと、これがなかなかクラッカー魂をそそるチムニー。いきなり核心がくる感じだろうか。カムがあれば楽しそうだ。軽く試登してみるが、オブザベより意外に悪く、すぐに撤退(上からの落石も怖いし)。

尾根下部を結ぶ踏み跡をたどり、反対方向から取り付きへ回り込むと、数人のパーティーがいた。初心者っぽい最後尾の若者が、草付きを登る時に石をはじいてしまい、「ラク!ラク!ス、スミマセン!」と声をかけてくれる。

「ありがとう。大丈夫です」と、軽く微笑んで、そばを抜かさせてもらう。リーダーらしき偉そうなおっさんが、「◯◯くん、バタバタしちゃダメ!バタバタしないっ!」と叱っている。

「ス、スミマセン」とまた恐縮する初心者君。何だかかわいそうだなあと思いながら、取り付きを譲ってもらう。先行のフォローが上がり切ったのを確認して、いざ登攀。

二年前は、ここの取り付きが濡れていたため、残置スリングをゴボウで上がってしまった。やっと訪れたリベンジ機会だが、やっぱり悪かった!

最初につかんだカチが浮いた音を出している。仕切りなおして、不安定だがより高いスタンスに乗り込み、両手を一杯に引き付けて離陸。かぶっている上に、25kgの荷物によって後ろに引きずり下ろされそうになる。顔の前にたれる残置スリングがいやらしい。




ほんの少し先の安定したカチにデッドをしたら、あとはガバ。
右手を飛ばす瞬間、先ほどのエラそうなオッサンから、「やせガマンなんかせずに、残置使ったらいいんですよ」という声が飛ぶ。

なんだとー!「やせガマン」とか言いやがったな〜!このヤロウ・・

と、思ったコンマ数秒で、体がはがれそうになる。あわわわ!
どう考えてもミスらない至近距離のデッドは、危うく空振りしそうなところで止まった。これからは人がトライしている時に変なこと言うのはやめよう(苦笑)。


彼はなおもブツブツと何か言っていたが、無視して先を急ぐ。残置無視の精神について講釈を垂れている時間はない。

再び何人か抜かさせてもらい、もう一つの核心であるスラブ壁へ。ここで渋滞をつくっている大人数パーティーに追いつく。

八の字がどうだとか、こんなところへ来てはじめてのロープワークをしている様子。フォローのロープはタルタルで、確保されている意味がほとんどない。危ないですよ〜と言っていたら、先ほど抜かさせてくれた後のガイドさんが、「そうそう、危なかしいんですよね〜」と同意してくれた。当のフォロワーはタルタルのまま怪しげなムーブで登っていったが・・。もしかしたらバットレスにいた大規模パーティーもこんな感じだったんだろうか。


スラブ壁はうっかりHガイドに「攻略法」を教わってしまったので、前回はなんだったんだろうというくらい簡単に突破できてしまった。前の大群には「単独なので・・・」と甘えさせてもらい、順番を譲っていただく。

彼らを抜けた先は無人。あっという間に樹林帯を抜け、青い空が開ける。




先ほどの足の速いガイドパーティーが追いついてくる。開けた場所をぐんぐん高度を上げてII峰まで。





ここで恐らく一番に上がっていた単独行の方を追い抜かせてもらい、トップで懸垂下降。ガイドさんたちに別れを告げて、人が群がる頂上へ最後の登高。

樹林を抜けた後の踏み跡は、どこも曖昧だったが、前回とほぼ同じラインで突破。オブザベをする目はそれほど悪くなかった、ということが少し嬉しい。

計画より随分早い登頂。ふー!



絶景を前に大盛り上がりする登山者たち。
今日の僕にとって、ここは通過点のはずなのだが、あまりの天気に思いのほかのんびりしてしまう。早月尾根の向こうに富山湾、さらに能登半島まで一望!反対側には富士山まで見えている。

ここで、早月尾根から日帰りで来たジモトの若い猛者から、ふたたび「昨年同じ時期に槍に・・」と聞かれてびっくりする。そんなに目立つ顔ナノデショーカ?

さて長い休憩の後、そろそろこの楽しい場所を後にしなければならない。今日はまだまだ長い。

0 件のコメント:

コメントを投稿