2014年9月15日月曜日

北岳バットレス第四尾根敗退記:その4


さて、上に行くことを諦めた今となっては、もう悩む要素はない。
あとは安全に降りて帰るだけだと思うと、急に気が楽になる。

同時に降り出した周囲の5~6パーティーと協力して、捨て縄やハーケンを提供し合ったり、互いの頭に落石が落ちないようにラインを整理したり、技術的なアドバイスをかわしながら、5ピッチの下降。

自分たちの知恵を出し合って、同じ目的に向かって協力し合うのはすごく楽しい。

ロープを抜くたびに時間を取られる上、毎回落石を引き起こすため、後続パーティーに回収をお願いして先頭グループのロープ4本を残置。全員が同じラインを通って効率的に降りる形にした。





絶壁の真ん中で困難を共有したことで生まれた不思議な連帯感。


最後の3ピッチで先行することになり、ライン設定、後続の交通整理を担当することに。ベテラン山屋の方々を差し置いて、いつの間にか「生徒会長」という愛称(?)を頂戴しました。

特に登高会 嵓のKさん、Wさん、ぶなの会のSさん、Mさんという経験豊富なアルパインクライマーの方々とは親しくさせていただき、ベースでは信じられないくらいゴージャスなご馳走を振る舞っていただきました。





翌日はさくっと下山し、芦安駐車場に近い金山沢温泉へ。二人でがっつりボルダー壁で遊びゆっくり疲れを癒す。







境川PAで食事をしていたところ、なんとKさんWさんと再会。
やっぱりクライマーは行動パターンが同じ?

連休の30km渋滞をくぐり抜け、混雑する電車に揺られて帰宅。
やっぱり疲れました。

パートナーの不安定なメンタルに振り回されたのは辛かったですが、これも経験。

強いクライマーほどあっさり敗退する、みたいですね。
自分はまったくあっさりできませんでした。

まずは敗退バージンを卒業したということで、次はもっとスパッとした決断ができるようになれればいいな。なんとなくアルパインクライマーへの小さな一歩を踏み出したような気がします。

次に機会があれば、下部フランケはいつか登ってみたい。
四尾根主稜だけのために、ここまで来ることはもうないと思うけど・・。

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