2014年9月15日月曜日

北岳バットレス第四尾根敗退記:その2


さて当日。2時半には出発したいと考えていたが、パートナーは前日の高度差500mの偵察行で疲労困憊の体。体調を気遣い、2時を少し回るまで起床を待つことに。

とりあえず彼のテントから食器だけをもらい、バタバタと食事を準備。
水気の多い雑炊やスープ類を用意したら、割とノドを通ったようでひとまず安心した。

ガスを片付け始め、ようやく出発かと思った間際に「テルモスのお湯を入れたいです・・」「ええ〜?先に言っておいてくれたら〜!」などのドタバタがあったりして、3時20分に白根御池発。

当日トップアウトしたパーティーは、すでに取り付きで並びはじめていたようだ。ここで遅れをとったのが失敗の第2、でした。

取り付きについたのはまだ夜も空けない4:50。
すでに下部岩壁のあちこちには沢山の人!人!まさかのヘッデンクライミングの列w





第五尾根はすでに渋滞の様子。仕方なく、上からの落石に注意しながら、dガリー大滝から突破。取り付きのボルダームーブが核心。
大反省すべきことにクライミングシューズを忘れたのですが、まあナントカなりました。

ちなみにここの出だしに失敗して、残置ハーケンが抜けて数m転げ落ちたという人がいたようで・・。やっぱり残置コワイ。





ここから渋滞をやり過ごしたかったのと、単純に美しいクラックに惹かれたのとで、下部フランケ転進を提案するが断られる。
(一応オプションとしては計画にあったのですが、手強そうでした^^;)


少しでも先にいくために、2本ある横断バンドの上側めざして入る。ジェラ氏から見せてもらったスーパートポのお陰で、一度も迷わずに来ることができた。

ここからピラミッドフェースの取り付きまでパートナーにお任せ。トラバースの核心手前でグレーカム一つだけかまして、身軽に突破。さすがと思っていたら、人で混雑している下のバンドに、派手に大石を落としていて焦った〜!

ここで大きな失敗。
ジェラ氏がハーケンと木の根っこを不思議な形で結んだスリングを、確認せずに自分の環付きでロック。てっきり会話から流動支点にしたのかと思い込んでいたが、そのまま掛けていただけだったことに後で気づいた。どちらが抜けてもおかしくないような怪しい支点だった。その上にもう一つ支点を取ってはいたけども、かなり危険な確認ミスでした。(ジェラさんは気づいていたらしいが・・)




まず落ちない場所、かつ先を急いでいたという心理もあって、盲目的に渡された場所で環付きを取ったのが原因。

ここから下部核心のクラックへ。
ま、アプローチシューズでも十分リードできる感じ。5.7くらい?




ここからの2ピッチは、ジェラ氏が連続で担当。

しかし、なぜかルートの概念に混乱しはじめたパートナー氏。cガリーを指してbガリーですよね?とか、ここは予定と違うルートだ、とか何度も主張して、困った雰囲気になりはじめる。

昨日二人で確認したスーパートポの記憶を頼りに、丁寧に説明しても納得してくれない様子。「後のパーティーがそう言っていた。あの人は何度も来ているから、向こうが合っているはずだ」と譲らない。

何度か同じ話を繰り返すことになり、困り果てて「あと1−2ピッチ、上部岩壁の取り付きに上がってくれたら自然にわかります」ということで、無理矢理に会話を終わらせてしまった。

この辺りから、お互いにギクシャクした空気が出始める。
う〜ん・・どう伝えればわかってくれたのかな。

さて、下部岩壁ラストは僕のリード。
階段状の簡単なピッチを終え、テラスに出てみると・・



30人を超える大行列!
cガリー側の低くなっている場所にはさらに人数がいる。初心者中心の巨大パーティーが詰まっていて、渋滞の原因をつくっているようだ。

続いて上がってきたジェラ氏。次のクラックを目にして、俄然行きたそうになっていたのだけど、僕がやりたかったということもあり、お願いして譲ってもらう。

朝は「私が全フォローになってもいいですか」と聞いてくるくらい自信なさそうだったジェラさんだけど、ここをリードしたいというくらい気力が回復したのは朗報。

ルートについても、ここから見える風景を元にあらためて説明し、ようやく理解してもらう。

(またまた続く)

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