トロリーバスは混んでいたが、9月上旬に乗った時とそれほど変わらない程度。予報が悪かったせいだろうか、想像したような常軌を逸した混雑ではない。
うとうとするうちに、黒部ダムに到着。うっかり扇沢で登山届を出しそびれたので、事情を説明したところ、親切なバスの運転手が預かってくれました。
室堂方面へ行く大多数の登山者とはここで別方向に別れる。ちょっと上級者になったようで、どきどきする。自分に行けるのだろうか。
急な林道を一気に下り、橋の上から放水中のダムを見上げる。
デカ〜!!ゴゴゴという轟音が、腹に響く。
あそこからの高低差は150m以上か。帰り・・は考えないようにしよう。
そのまま林道を歩き、親しくお話しさせていただいた福島の二人連れとは内蔵助出合でお別れ。かの丸山東壁ってこれかな〜?などブツブツいいながら、人の少ない道をひたすら歩く。一カ所だけ恐ろしいザレ場があった以外は普通の登山道だが、体が慣れないせいかなかなか足腰にこたえる。
ハシゴ谷乗越を越えたところで、突然どどーんと見えてくる剱!
ひゃほー!!!カクイイ〜!
ここからはところどころハシゴが壊れている恐ろしげな尾根道をひたすら下降し、あっと言う間に真砂沢へ。
ガラガラの小屋前にテントを張り、食事をとろうかとしているところで、僕の直後に着いた単独行の若い男性に話しかけられる。どうやら、昨年の全く同じ時期、北鎌から穂先にあがってきたところで拍手してくれた長い行列の中にいたとのこと。槍で会った人とぴったり一年後に剱で再会するという、ウソのようなハナシ!
名物小屋主の面白い話を聞かせていただいたりしながら、のんびりと飯を食べ、持参した日本酒を飲む。小家主は楽しく山の話をしているかたわら、遅い時間に到着する登山客をケチョンケチョンに叱りとばしている。
僕も剱午前や剱沢で、露骨に初心者扱いされたりしたなあ。あれからたったの二年かあ。
先ほどから気になっていた、石垣に刺さっているリンクカム。聞いてみると、小家主はこともなげに「ああ、あれは山野井が置いて行ったヤツ。」と教えてくれた。
こ、これは、岳人トークってヤツ!?
なんとなく、本物の山男から「こっち側」の人間と認められたようで感慨深い(笑)
少しずつ赤く染まって行く剱。突き抜けたような高い空。
これを幸せと言わずして何と言うのだ〜。
徹夜移動からの疲れに酒が加わり、しだいに心地よい眠気がおとずれる。日没後はテントに戻り早めの就寝。
明日、北方稜線を歩くことを考えると、源次郎で渋滞につかまりたくはない。源次郎取り付きまで1時間。日の出が5時過ぎだと考えると、ここを4時に出ておきたいな。撤収の練習にちょうどよい機会か。北岳のような混雑にならないといいなあ・・
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