2014年9月30日火曜日

ビッグロック日吉


ここのところぐずぐずした夏を忘れさせるかのような秋の好天。
なのにクライミングできていない。みんな楽しそうだなー。いいなー。

というわけで、ジムクライミングしたいなーと思って、いつもの日吉メンバーにお声がけしたところ、cherroさんがつきあってくれました。

珍しく先に日吉到着。たまたまいらっしゃったYZ部長にアップをつきあっていただいてフェースをやっていたら、cherroさん到着。

アップもそこそこにテーピング。
あ、やっぱりそうなのね?といいながら嬉しそうにテーピングする僕。

TRクラックで何本かアップした後、ルーフクラックをトライ。なんと今回、はじめて左クリップ、右クリップと両方向のムーブができました。
おおお〜やたー!!

まだまだ無駄な力を使っているような気もするけれど、左右を完全に逆にしても間違えずにムーブをこなせたのは進歩した証拠。このルートに関して、すっかり熟練ビレイヤーとなってしまったcherroさんも、「足使いが丁寧だった」と褒めてくれました。

その後は、うす被りフェース壁へ。

美女が取り付いていた11cに興味を引かれ(美女に、じゃないよ!)、ムーブを真似しながらおそるおそるトライ。

しかしクリップムーブがレロレロのクチャクチャで、通りがかった町サンには「おお〜!屈曲しているねー!こんなに屈曲している人はじめて見たよ〜!」とからかわれる始末。もちろんテン山。

フェースはクリップムーブのオブザベも必要なのですね。
ま、あと5トライくらいできたら、できなくはなさそう。いや、20トライかも・・。

cherroさんとYZ部長は、僕でもリーチが苦しそうに見える激辛10dを果敢にトライ。やはり二人して果てておられました。

いやーしかしcherroさんの挑戦心はスゴい!岩といい、沢といい、山といい、どんな話であってもいきなり断ることはなく、まずは「いっちょやってみよう」と考えてみる意気込みは尊敬ですね。いや、つきあってくれたから言っているわけじゃないんですよー。

クラックもあっという間にうまくなっていて、今回は♂♀クラックを往復し、被り壁のフレアハンドやくの字もクリア。最後に誰かにけしかけられて、11cルーフクラックも触っていました(笑)。

なんでもやってみる姿勢、僕も見習わないと。
(え?フィンガークラックをやってみろ?ルーフのフェース?ナニソレ?)


ジム後はすっかり恒例となった、飲んだくれ山トークにて楽しく終了。いろいろと深い話を教えていただいて、人間力が3歳児なみのこじーとしては、すっかり人生勉強になりました(ぺこり)。

それにしてもやっぱりクラックは楽しい。また来週行けたらいいなあ〜。

2014年9月28日日曜日

Twall大岡山


週末は天気がいいのに岩にも山にもいけず。

なにせ岩なんぞ、秋に入ってから全然触る機会がない。

というわけで、最近サボりがちな練習ですが、閉店間際2時間ほど遊んできました。

まあ取り立てて収穫はないけども、苦手な110度壁の緑(5−6級)が一つ解決。隣の緑はその辺にいた3人でセッションしたが、ケガしそうなので途中撤退。

最後に130度で唯一未解決の緑課題(4−5級)をトライしたが、上で手順をトチって失敗。しかし、ほとんど上手く行ったためしがない下部が、比較的安定してつながりそうな予感がしてきたのがグッドニュース。
半年前より、0.25級くらいウマくなっている感触がある。

ま、何せ右肩下がりの初老だからねー。これでも大進歩。

近所だし、頻繁に課題が変わったりしないので、時々力をはかりにくるにはいいな。
また来よう。

2014年9月27日土曜日

富士山


えー40才を迎えました。
四十路。不惑。またの名を・・初老

諸先輩方の話を聞くとね、もう色んなことが右肩上がりにあがる年じゃないそうです。
「下向きエスカレーターを逆走している」状態だと。

三十路になった時は激しく落込んだ僕ですが、さすがに学習して、38才くらいから自分を「40代のオッサン」だと思い込むというメンタルトレーニングを積んできたおかげで、落ち着いて節目を迎えられました。


日付が変わる瞬間を迎えたのは終電の中。そして休めるはずだった誕生日は仕事まみれで終了。これはイカンということで、40代記念に富士山に登ってきました。


金曜日、遅くに会社を終えてからザックをつくり、車を飛ばす。
吉田口に着いたのは0時ちょうど。

高度に慣れるため食事をしたり、登山計画書を書いたりして、0:30出発。
頂上までの高度差は1400m程度。調子が良い時の僕のペースが、高度300m/時間ということを考えると、まあ5時間程度、御来光はギリギリか。

で、実際は4時間で登れてしまいました。




一時間350mは自分にとって限界ペースだけど、ここ最近は重荷を背負っての高山ハイクを何度かできているせいで、体が慣れていたっぽい。やっぱり山も場数なんですねー。
階段に近い直登地形、日帰りの軽い荷物というアドバンテージも大きい。


ところで富士山に来たのは過去3度あるんだけど、実はまだ御来光に巡りあえていない。

一番惜しかったのは、はじめて来た中学の頃。まだ「右肩上がり盛り」だった僕は、遅れがちな家族に先行して頂上を目指したが・・渋滞に阻まれ、9号5尺あたりで日の出を迎えてしまいました。

ちなみにこの時、頂上で待っていた僕の前に現れたのは、オヤジでも弟でもなく、オカンでした。

オヤジのザックを右肩に、弟のザックと自分のザックを左肩にかけ、弟の手を引きずるように歩くその顔は、口を一文字に結んだ憤怒の表情。

⇒後日確認したところ、弟をまるごと担いで登ったということでした。


背中に炎のような朝日を浴びながら、力強い足取りで稜線に現れたオカン。逆光のシルエットはほとんど映画の世界・・






一番行きたくないっていってたのにスゲーなオイ!

ふと後ろを見ると、張り切っていたはずのオヤジがゾンビのような姿で歩いていました・・。オカン、あの時は手伝わなくてゴメンね。


ま、そんなことはどうでもよいのだが、要するに四半世紀を経てようやく御来光を見るという念願がかなったわけですよ!
願い続けりゃ実現するもんだねえ。

時間も余ったので、久須志神社で防寒着を着込み、剣ヶ峰まで。

測候所ではオジサンが「あれ!UFOですよ!UFO!さっき動きましたから!ほら、あの雲のそばにいる!」と、香ばしい会話を吹っかけてきて困った。

カップルでやって来た若いイケメンが「あれは明けの明星です。角度的にも間違いないです。」と冷静に対応。ようやく静寂が戻る。
まあ、こんなに高いところに来るとテンションもおかしくなりますよね。
ありがとうイケメン君!


角度的に地平線が見えるのか心配したけれど、ちゃんと見られましたよ。




家族のこと、山のこと、人生のこと、色々考えましたさ。
一応節目ですからね。初老の。



頂上でラーメンを食べ、子供が書いてくれた手紙を読んでウルウル。



午後に予定があったので、携帯メールをしながら走るように下山。ブル道を須走口に降りて行くという大失敗に、6合目まで気づかず・・orz

樹林帯が切れかかっている辺りまでなんとか登り返す。ガレガレの沢の薄い踏み跡を探して、トラバースしたりなんかしながら、なんとか帰りつきました。シーズン終わりの時期だから、もう落ちる石は落ちたかと甘く見ていましたが、ヘルメットがないと危ない崩壊ガレの連続。反省しています・・

登山と下山、同じくらい時間をかけちまいました。人生折り返しを過ぎてもまだとっちらかっているこじーでした。



ところで、山頂付近ではそろそろ冬の訪れを感じました。



僕が知っている富士山は、GWから9月までの比較的登りやすい山。
重装備を背負い、厳しい気象に耐えての厳冬期日帰りピストンは、段違いにレベルが高いんだろうなあ。

いつかは冬富士・・と言い続けているけれど、これも願えばかなうことがあるのかな。

2014年9月24日水曜日

剱北方稜線ぶらり山旅:その5


テントに霜がつく氷点下の朝。
まだ暗いうちから食事をはじめ、素早くテントを撤収。
北方稜線上で、ビバークを難なくこなせたということが嬉しい。


隣のパーティーと情報交換した後は、池ノ平小屋へ向けて一気に下山。
太陽が出ると急に全身がぽかぽかしてくる。先ほどまで足先が冷たかったのがウソのようだ。



今日も雲一つない快晴。

もう稜線はおしまいかあ、という実感が込み上げてくる。
池ノ平山の方角を振り返る。名残り惜しい。





池ノ平小屋では、テント泊のカップルとしばし話が盛り上がる。このカップルとはこの後、阿曽原温泉でも親しくさせていただきました。

この後は仙人池でお約束のショット。
いつか紅葉の時期に来たいなあ〜!



ここで小屋の若いお兄さんと話をさせていただく。どうやら池ノ平山の隣にあった鋭いピークは、北峰だったらしい。南峰から足が早くても1時間とのこと。僕なら2時間というところか。またいつか赤谷山から縦走してみたいなあ。

ここからは剱岳とお別れ。
沢沿いの危なっかしい道を一気に下り、仙人温泉で英気を養う。雲切新道では、ここまでのトラバース主体の道とは打って変わって、尾根通しのしっかりしたつくりに驚く。元山岳警備隊長という、阿曽原温泉小屋主の考えが伺えるようだ。

仙人ダムへ。
高熱隊道を思わせる高温の坑道を通過し、苦しい尾根伝いの登り返しを経て、阿曽原温泉に昼頃に到着。




酒はまだ余ってはいたが、もう「生存に影響ない物資」ということで日本酒の購入はアリとした。
風呂に入ったり、残った飯をつまみにたくさん酒を飲んだりしながら、山旅の最後の夜を楽しむ。

翌日は下ノ廊下を登り返し。
十字峡は圧巻。沢沿いのスラブ岩まで降りてしばしの絶景を楽しむ。




よくもまあ、ここに道を通そうと思ったな、というのが正直な感想。断崖の中に削り出された狭い通路。ここで落ちたら見つからない。再びピンと張りつめる緊張感。




結局ロープには頼らなかった。完全に人工的なルートにおいて「初登者のこだわり」を持ってみても意味があると思えないのだけど。意地?それとも惰性?

黒部別山沢出合を過ぎると、前後に登山者が増え、徐々に一般道らしい雑然とした雰囲気になる。

クライミング欲をそそられる岩壁の数々。



あのクラックは途中で切れているなあ、あのフェースはピトンが打てるのかな、そんなことを考えているうちに内蔵助谷出合へ。

最後は黒部ダム直下から、泣きそうになりながらの150m登り返しをこなす。なんとか13時のバスに飛び乗ると、子供やカップルの喧噪で、いきなり現実に戻される。

下山。

夢見ていた北方稜線は、物足りないほどあっさりと終わりを迎える。
テント4泊、フル装備でのバリエーション。
昨年、水・食糧計画が失敗したことを思いだす。成長したのかなあ。

少しだけ、周りの登山者と見えている風景が違うような気がした。
次はアルパイン、かな。

さようなら剱岳。また来年!

剱北方稜線ぶらり山旅:その4


出発間際、昨日に真砂沢であった健脚青年と三たび再会。僕より後にテント場を出て、剱沢へ荷物デポ、別山尾根を駆け上がってきたらしい。

「これはご縁がありそうだ!」ということで連絡先を交換してから出発。何度か振り返り、いつまでも見送ってくれる彼に大きく手を振る。




楽しげな喧噪から離れ、一人で荒涼とした岩砂の世界に踏み出していくのは、何とも言えない名残惜しい感じがする。浮き世との別れってこういう感じなのだろうか・・。

最初の岩峰を越え、山頂の人たちから自分が消えたことを意識する。ここからは本当に単独行。崩れがちな足下の岩に集中する。僕は浮き世に戻らなければならないのだ。


どんどん降りて行く。長次郎の頭だろうか、大きな岩峰の方からガヤガヤと人の声が聞こえる。大人数パーティーが長次郎側のラインを回り込んできている。手前のコルで少し待って入れ違う。

ルートはあえて詳しく調べなかったのだけど、思ったより危険そうだ。少しヒントがわかったのは、素直にありがたい。

彼らが来た長次郎側のトラバースは落ちたら助からなさそうだったので、ガレの多いルンゼ状をそろそろと登り詰めて突破。反対側にルートが続いてなければ懸垂支点をどうしようかと考えていたが、うまくルート上に降りる。





黄色:トラバースルート(おそらく「正規」ルート)
青色:今回のライン

池ノ谷乗越へ降りる急勾配のラインは、幸か不幸か長いフィックスがベタ張りされていた。ロープは触らないにせよ、ルーファイの楽しみがなくなってしまうのが少し残念。

池ノ谷ガリーは傾斜が緩いため、思ったより危険は感じない。単独行者とすれ違い、池ノ平山でビバークできるという話を得る。北方稜線を行くにあたり、池ノ平山までは行こうと考えていたので、最悪ビバークできる場所があるというのは貴重な情報。

ここからガスが濃くなり、時折、視界が奪われはじめる。

三の窓で大失敗。池ノ谷ガリーを過ぎた後は、三の窓雪渓側をトラバースするものだと思い込んでしまった。

チンネ側へ行く雪渓の踏み跡を途中までたどって、そこからチンネと反対側に折れ、崩壊したザレ場や岩棚をあちこち偵察を繰り返す。

諦めて戻ってきたところ、三の窓にいた別パーティーが教えてくれてラインに復帰。

ここからは小窓ノ王への急な登り返し。

振り返るとズタズタになった暗い壁が見える。
陰鬱な谷間へ急角度で落込む池ノ谷ガリー。




こいつを下って来たのか。
自分で思っているより、恐怖の感覚が麻痺して来ているのかもしれない。

この先で尾根を乗越しているうちに、稜線の概念を勘違いてしまい、逆方向へ導かれる。薄い踏み跡やケルン(!)に誘導され、ガレガレの源頭部を登り返す羽目になった。なんとか源頭部付近からトラバース気味に尾根を乗り越すと、見覚えのあるテープが・・。
まさかのリンデワンデリング!

これは濃霧の中でコンパスを確認するのをサボった自分が悪い。午前中は遠くまで見通しがよかったことで、方角を間違えるようなことはなかったのだ。

この先、短く急な雪渓を横断。気温の低い朝にカチカチの雪渓を渡ることを避けたかったので、今日中に越えられたことにひとまず安堵する。

小窓では赤谷山から縦走してきた2パーティーに会う。時間は16時30分。そろそろビバークを視野に入れなければならない。できれば今日中に池ノ平山に登ってしまいたい。この先は藪漕ぎだが、彼らからの情報では薄い踏み跡はあるという。
おそらく1時間ほどで到達するだろうと判断して進むことにした。

ところが、登山者が少ない池ノ平山稜線は、今までに増してシビア。延々と繰り返される稜線伝いの直登。



これが最後・・と思いながら、何度も何度も薮漕ぎを繰り返す。

真っ暗な山頂に見えるテントの明かりに励まされ、18時30分到着。



藪漕ぎが苦手というのは否めないが、何より赤谷山から長い薮ルートをついてやってくる猛者達の、「簡単な藪漕ぎですよ」という言葉を真に受けてはいけなかった(笑)。

ようやく到着したものの、想像と違って全く平らな場所はない。やむなく先行パーティーの隣に、斜めにテントを張らせてもらう。

まあ雪山でのテント泊を思えば楽なもの。
稜線に担ぎ上げた水は、まだ3L以上残っている。
素早く夕食をすませ、明日の準備をしてから眠りにつく。

焼酎を飲んでまどろむ。
14時間行動の疲れが心地よい。そういや、山岳会の人が、ビバーク前はヘトヘトになるまで行動するのがよいと言っていたなあ。

明日は一気に登山道を降りて、温泉巡りをするだけ。
この我慢も今日だけと思えば、大したことはないか・・

剱北方稜線ぶらり山旅:その3


さて、朝3時前におきて準備。長丁場の今日、急ぐとはいえ朝食はしっかりとらなければならない。やはり手際が悪かったりして、出発したのが4時半を回ってしまう。

朝の雪渓は滑るが、この季節にもなるとアイゼンなしで安全に歩ける。





源次郎尾根下部バリエーションの涸れ滝まで到着。
上を見ると、すでに取り付きにいくつかヘッデンが見える。本来のアプローチは平蔵谷まで回り込むのだけど、遠いので涸れ滝側を直接登ることにした。

滝まで詰めて行くと、これがなかなかクラッカー魂をそそるチムニー。いきなり核心がくる感じだろうか。カムがあれば楽しそうだ。軽く試登してみるが、オブザベより意外に悪く、すぐに撤退(上からの落石も怖いし)。

尾根下部を結ぶ踏み跡をたどり、反対方向から取り付きへ回り込むと、数人のパーティーがいた。初心者っぽい最後尾の若者が、草付きを登る時に石をはじいてしまい、「ラク!ラク!ス、スミマセン!」と声をかけてくれる。

「ありがとう。大丈夫です」と、軽く微笑んで、そばを抜かさせてもらう。リーダーらしき偉そうなおっさんが、「◯◯くん、バタバタしちゃダメ!バタバタしないっ!」と叱っている。

「ス、スミマセン」とまた恐縮する初心者君。何だかかわいそうだなあと思いながら、取り付きを譲ってもらう。先行のフォローが上がり切ったのを確認して、いざ登攀。

二年前は、ここの取り付きが濡れていたため、残置スリングをゴボウで上がってしまった。やっと訪れたリベンジ機会だが、やっぱり悪かった!

最初につかんだカチが浮いた音を出している。仕切りなおして、不安定だがより高いスタンスに乗り込み、両手を一杯に引き付けて離陸。かぶっている上に、25kgの荷物によって後ろに引きずり下ろされそうになる。顔の前にたれる残置スリングがいやらしい。




ほんの少し先の安定したカチにデッドをしたら、あとはガバ。
右手を飛ばす瞬間、先ほどのエラそうなオッサンから、「やせガマンなんかせずに、残置使ったらいいんですよ」という声が飛ぶ。

なんだとー!「やせガマン」とか言いやがったな〜!このヤロウ・・

と、思ったコンマ数秒で、体がはがれそうになる。あわわわ!
どう考えてもミスらない至近距離のデッドは、危うく空振りしそうなところで止まった。これからは人がトライしている時に変なこと言うのはやめよう(苦笑)。


彼はなおもブツブツと何か言っていたが、無視して先を急ぐ。残置無視の精神について講釈を垂れている時間はない。

再び何人か抜かさせてもらい、もう一つの核心であるスラブ壁へ。ここで渋滞をつくっている大人数パーティーに追いつく。

八の字がどうだとか、こんなところへ来てはじめてのロープワークをしている様子。フォローのロープはタルタルで、確保されている意味がほとんどない。危ないですよ〜と言っていたら、先ほど抜かさせてくれた後のガイドさんが、「そうそう、危なかしいんですよね〜」と同意してくれた。当のフォロワーはタルタルのまま怪しげなムーブで登っていったが・・。もしかしたらバットレスにいた大規模パーティーもこんな感じだったんだろうか。


スラブ壁はうっかりHガイドに「攻略法」を教わってしまったので、前回はなんだったんだろうというくらい簡単に突破できてしまった。前の大群には「単独なので・・・」と甘えさせてもらい、順番を譲っていただく。

彼らを抜けた先は無人。あっという間に樹林帯を抜け、青い空が開ける。




先ほどの足の速いガイドパーティーが追いついてくる。開けた場所をぐんぐん高度を上げてII峰まで。





ここで恐らく一番に上がっていた単独行の方を追い抜かせてもらい、トップで懸垂下降。ガイドさんたちに別れを告げて、人が群がる頂上へ最後の登高。

樹林を抜けた後の踏み跡は、どこも曖昧だったが、前回とほぼ同じラインで突破。オブザベをする目はそれほど悪くなかった、ということが少し嬉しい。

計画より随分早い登頂。ふー!



絶景を前に大盛り上がりする登山者たち。
今日の僕にとって、ここは通過点のはずなのだが、あまりの天気に思いのほかのんびりしてしまう。早月尾根の向こうに富山湾、さらに能登半島まで一望!反対側には富士山まで見えている。

ここで、早月尾根から日帰りで来たジモトの若い猛者から、ふたたび「昨年同じ時期に槍に・・」と聞かれてびっくりする。そんなに目立つ顔ナノデショーカ?

さて長い休憩の後、そろそろこの楽しい場所を後にしなければならない。今日はまだまだ長い。

剱北方稜線ぶらり山旅:その2


トロリーバスは混んでいたが、9月上旬に乗った時とそれほど変わらない程度。予報が悪かったせいだろうか、想像したような常軌を逸した混雑ではない。

うとうとするうちに、黒部ダムに到着。うっかり扇沢で登山届を出しそびれたので、事情を説明したところ、親切なバスの運転手が預かってくれました。

室堂方面へ行く大多数の登山者とはここで別方向に別れる。ちょっと上級者になったようで、どきどきする。自分に行けるのだろうか。

急な林道を一気に下り、橋の上から放水中のダムを見上げる。



デカ〜!!ゴゴゴという轟音が、腹に響く。
あそこからの高低差は150m以上か。帰り・・は考えないようにしよう。


そのまま林道を歩き、親しくお話しさせていただいた福島の二人連れとは内蔵助出合でお別れ。かの丸山東壁ってこれかな〜?などブツブツいいながら、人の少ない道をひたすら歩く。一カ所だけ恐ろしいザレ場があった以外は普通の登山道だが、体が慣れないせいかなかなか足腰にこたえる。

ハシゴ谷乗越を越えたところで、突然どどーんと見えてくる剱!



ひゃほー!!!カクイイ〜!

ここからはところどころハシゴが壊れている恐ろしげな尾根道をひたすら下降し、あっと言う間に真砂沢へ。

ガラガラの小屋前にテントを張り、食事をとろうかとしているところで、僕の直後に着いた単独行の若い男性に話しかけられる。どうやら、昨年の全く同じ時期、北鎌から穂先にあがってきたところで拍手してくれた長い行列の中にいたとのこと。槍で会った人とぴったり一年後に剱で再会するという、ウソのようなハナシ!

名物小屋主の面白い話を聞かせていただいたりしながら、のんびりと飯を食べ、持参した日本酒を飲む。小家主は楽しく山の話をしているかたわら、遅い時間に到着する登山客をケチョンケチョンに叱りとばしている。
僕も剱午前や剱沢で、露骨に初心者扱いされたりしたなあ。あれからたったの二年かあ。





先ほどから気になっていた、石垣に刺さっているリンクカム。聞いてみると、小家主はこともなげに「ああ、あれは山野井が置いて行ったヤツ。」と教えてくれた。

こ、これは、岳人トークってヤツ!?
なんとなく、本物の山男から「こっち側」の人間と認められたようで感慨深い(笑)





少しずつ赤く染まって行く剱。突き抜けたような高い空。
これを幸せと言わずして何と言うのだ〜。




徹夜移動からの疲れに酒が加わり、しだいに心地よい眠気がおとずれる。日没後はテントに戻り早めの就寝。


明日、北方稜線を歩くことを考えると、源次郎で渋滞につかまりたくはない。源次郎取り付きまで1時間。日の出が5時過ぎだと考えると、ここを4時に出ておきたいな。撤収の練習にちょうどよい機会か。北岳のような混雑にならないといいなあ・・

2014年9月23日火曜日

剱北方稜線ぶらり山旅


9月20日〜23日、剱周辺一人旅の記録。
先日のバットレスを経て、アルパインをやるにあたっての「山ヂカラ不足」を痛切に感じました。

山岳会でコンスタントに登っている山屋さんとかみていると、全然違うんですねー。

食事のバリエーションがない。行動ペース、テント設営・撤収が遅い。
悪天下のテント設営とか、ちょっとイレギュラーな状況になったらアワアワドタドタ。
ましてやビバークなんて・・。

やっぱり廻り目平でお気楽オートキャンプしてるくらいじゃ全然イカンのなー。
フリークライミングはまず座学が大切だったりするけど、こと山に関して言うと、実践経験の積み重ねがないとおハナシにならないということを毎度実感します。


さて、連休後半は予期せぬ晴れ予報。ぽこっと空いた4連休。

ここでやらにゃーいつやるんだ!
・・ってことで、かねてからあたためていた北方稜線への旅を決行してきましたよ。

ルートは色々あるのですが、一番重視したのはとにかく空いているということ。

北岳もそうだったが、昨年の槍穂縦走、奥穂〜ジャン周辺の混雑も泣けた。
落石は来る、ペースは乱される、もちろんルーファイなんぞはなく、ひたすら前の人の背中について行くだけの道歩き、そして事故・・。

山を好きな理由に、「むきだしの自然と対峙している緊張感」ということがあるんだけど、ディスニーランド並みの混雑の中では周囲の人間への気遣いに追われてしまって、とてもじゃないが自然との対峙なんかを感じていられない。


ということで企画してみた、裏剱4日間の旅!

一日目:黒部ダム〜ハシゴ谷乗越〜真砂沢幕営
二日目:真砂沢〜源次郎尾根〜剱〜北方稜線〜池ノ平小屋幕営
三日目:池ノ平小屋〜仙人池ヒュッテ〜仙人温泉〜雲切新道〜阿曽原温泉幕営
四日目:阿曽原温泉〜下ノ廊下〜黒部ダム

ポイントは黒部ダム発帰着。
ちゃんと剱を踏みながら、メジャールートを避けたルート設定。
うむうむ。

剱本峰を踏むことを諦めたら、八つ峰上半部から池ノ平への縦走も面白そうだったけど、これは次回へお預け。
まだまだ山頂を踏み足りない新人君なのですw

最終日の登りを回避できるという意味では、逆回りも魅力的だったけど、天気が確実に読める前半に核心の北方稜線を置くことにし、後半の下ノ廊下は場合によってカット(池ノ平からハシゴ谷乗越をエスケープ)とした。


前回の寝具は、モンベル7番というなめた装備でヒドイ目にあったので(笑)、氷点下近い気温を想定して2番相当のシュラフと、厚めのエアマット、防寒着を投入。

靴は登攀を重視してアプローチシューズ。雪渓対策に、チェーンスパイクとストックをプラス。さらに50mダブルとハーネスを加える。






さて、はかりに乗ったら22kg弱。水を足したら25kgか。うげげっ。ひょっとして北鎌より多い?

ま、ともあれ目標としてはこんな感じに。

・山体力  : 25kgを背負っての長時間行動に耐えうるか
・山技術  : テント設営・食事・撤収のスピード向上
・山メンタル: 山小屋を頼らず4日間の「無補給」状態に耐えられるか



さて、準備を終えた時点で夜の12時頃。例によってあわてて出発し、途中のSAで仮眠を取りながら扇沢へ。前回うっかり有料駐車場に誘導されてしまったが、今後は抜け目無く無料駐車場へ(笑)。



予想外にまだ少し空きがある。
車内でゆっくり準備をして、すでに混雑している気配のあるトロリーバスへ向けて出発。両肩のザックはいつになく重く、短い坂を上がるだけでも呼吸が荒くなる。

さて、どうなるかなあ。

2014年9月15日月曜日

北岳バットレス第四尾根敗退記:総括編


日程:9月13日−15日

<おおよその行動時間>

2:00
      起床、朝食
3:20      白根御池出発
5:15 - 7:15  取り付き~Dガリー~緩傾斜帯(3P)
7:15 - 8:20  横断バンド(歩き+1P) 先行が詰まりはじめる
8:20 - 11:50  下部岩壁~四尾根テラス(4P)
11:50 - 13:30  テラス待機、敗退決定
16:40 - 17:15  取り付き(懸垂5P)、交通整理
19時過ぎ     白根御池帰着

・登攀は残置無視、オールフリー。
・懸垂敗退時は残置支点含め捨て縄、ハーケンなど利用

<反省点>
 やはり相手は山。悪天、道迷い、ビバークも不思議ではない場所。時間的にも場所的にも、小川山のように、何度も気軽に戻って来られるような場所ではない。自分たちが得意とするゲレンデフリーと、アルパイン的な状況との違いが色濃く出たと思います。

・理想と現実のバランス
 最初から敗退前提で偵察がてら行くならともかく、一応は登頂を期待してベストを尽くすつもりならば、もう少し現実と理想のギャップを見極めるべし、でした。またそこで折り合えないなら、行かないという勇気も必要だったかもと思います。
 具体的には、計画段階で自分たちへの期待値が高すぎ(20ピッチ!)、そのために引き受けなければならないことへの覚悟が甘かった。自分たちの現実を冷静に見て、期待値を下げるか、かなりのことになる覚悟を持って行くか、どちらかを選ぶべきだったようにに思う。

・出発準備に時間がかかり過ぎた
 他の記録を見ると、混雑時は1:30~2:30に出発している。お湯を何度も沸かしなおしたりして時間をかけてしまった。

・行動スピード
 渋滞が無いdガリーでも1ピッチ40分。10分変わると20ピッチで3時間以上の違いとなる。
 またアプローチや、テント場帰着の行動も予定より時間がかかった。
 パートナーの体調面があるため、仕方がない部分ではあったかも知れないが。

・ルート判断のすりあわせ(パートナーと全く違うことを考えていた)
 尾根の横にあるのはbガリーですか?とか、我々は四尾根ルートから外れているのでは?とかまあいろいろ・・。bガリーからボロボロの第二尾根に登りつめてしまい、第四尾根まで決死の大トラバースをかましたパーティーもいたので、まあ上出来か。

・シューズ忘れた!
 今回の特大ポカ。責任を取ってアプローチシューズで登攀しました。直前に荷物を整理しなおした時にザックからこぼれてしまった。大反省しています。

・日程のチョイス
 分かっていたけど、連休に人気の初心者バリエーションに行くとこうなるんだなあ。昨年の西穂も数珠つなぎだったし。極端に早く出て取り付きで寒い中待つ、取り付きビバークを視野に入れる、などの作戦も考慮に入れるべきでした。

・山ヂカラ
 山経験の圧倒的不足。事前に想定して覚悟していたはずのことでも、現場で実際に遭遇すると精神的に極度に不安になることがあると痛感。アルパインでは、長時間行動・ビバーク・悪天候など、今までの経験の幅が落ち着きをもたらすんだろうなあと思いました。

<敗退ラインメモ>
・第二コルまで敗退の記録アリ。
 それ以降の敗退記録はネットにはないらしい(Wさん談)
・実際は上からでも上部フランケ、Dガリー奥壁側に逃げられるようだ
・敗退ラインは、落石を嫌い尾根通しに

 まずCガリー方向へ少しバンドを降り、薮のヒドンガリーを15~20mほどの懸垂で薄い踏み跡へ。尾根側に戻る方向に踏み跡をたどり、やや根の浮いている(!)這松を支点にDガリー方向に樹林帯を15mほど懸垂すると、下部岩壁3P目終了点に出る。そこから、大テラス下のリッジライン(4P目取り付き)に出て、横断バンドまで45m一回で懸垂可能。

ここから浮き石の多いピラミッドフェース下部を2P(それぞれ40mくらいか)で降りる。最初の支点はハーケンの効きが怪しいのと、ロープが落石を誘発する場所を通るので(先行パーティーが自分の頭の上に落としていた)、1mほど右側にあるブロックに捨て縄をかけ、残置ハーケン3本でバックアップをとった。いつかブロックが丸ごと崩壊する可能性があるので使う際には再検証してください。

最後の懸垂支点はボロボロの剥離帯。抜けたリングボルトが二本、さらにテスティングしたハーケンが手で抜けた。真新しいリングボルトと、残置ハーケン、さらに自分達のアンクルをバックアップに懸垂(僕の打ったハーケンが効いていなかったと後でご指摘を受けました)

最後は、ライン上の石をどかしながらDガリー基部のチムニー状めがけて降りる。ここは落石の集中帯なので、後続が来る前に取り付きへ降りるか、ハングの真下に隠れる。

最後のロープを抜く時は、五尾根支稜方向に少しあがった場所から抜くと、角度的にも抜けやすく、また落石を避けやすい。

北岳バットレス第四尾根敗退記:その4


さて、上に行くことを諦めた今となっては、もう悩む要素はない。
あとは安全に降りて帰るだけだと思うと、急に気が楽になる。

同時に降り出した周囲の5~6パーティーと協力して、捨て縄やハーケンを提供し合ったり、互いの頭に落石が落ちないようにラインを整理したり、技術的なアドバイスをかわしながら、5ピッチの下降。

自分たちの知恵を出し合って、同じ目的に向かって協力し合うのはすごく楽しい。

ロープを抜くたびに時間を取られる上、毎回落石を引き起こすため、後続パーティーに回収をお願いして先頭グループのロープ4本を残置。全員が同じラインを通って効率的に降りる形にした。





絶壁の真ん中で困難を共有したことで生まれた不思議な連帯感。


最後の3ピッチで先行することになり、ライン設定、後続の交通整理を担当することに。ベテラン山屋の方々を差し置いて、いつの間にか「生徒会長」という愛称(?)を頂戴しました。

特に登高会 嵓のKさん、Wさん、ぶなの会のSさん、Mさんという経験豊富なアルパインクライマーの方々とは親しくさせていただき、ベースでは信じられないくらいゴージャスなご馳走を振る舞っていただきました。





翌日はさくっと下山し、芦安駐車場に近い金山沢温泉へ。二人でがっつりボルダー壁で遊びゆっくり疲れを癒す。







境川PAで食事をしていたところ、なんとKさんWさんと再会。
やっぱりクライマーは行動パターンが同じ?

連休の30km渋滞をくぐり抜け、混雑する電車に揺られて帰宅。
やっぱり疲れました。

パートナーの不安定なメンタルに振り回されたのは辛かったですが、これも経験。

強いクライマーほどあっさり敗退する、みたいですね。
自分はまったくあっさりできませんでした。

まずは敗退バージンを卒業したということで、次はもっとスパッとした決断ができるようになれればいいな。なんとなくアルパインクライマーへの小さな一歩を踏み出したような気がします。

次に機会があれば、下部フランケはいつか登ってみたい。
四尾根主稜だけのために、ここまで来ることはもうないと思うけど・・。

北岳バットレス第四尾根敗退記:その3


テラスではじりじりとした待機時間だけが過ぎて行く。

すでにここに到着してから1時間以上。
徐々に敗退の可能性が現実的になってくる。

周囲のパーティーと、敗退可能な場所・敗退ラインについての詳細な検討をはじめる。

時間的にもあと2ピッチ、ピラミッドフェースを超えたコルあたり。そこが最終判断ポイントだろうという見方で一致した。

まだ可能性がゼロになったわけではない。
もとより15時間行動を覚悟してきたわけで、頂上直下の歩きがヘッデンになることは想定の範囲内。

少なくともあと1ピッチでもいいから上部岩壁に登ってみたい、僕はそう考えていた。お互いここに来るためにあくせくとやっていた僕としては、「自分を納得させるための区切りが欲しい」という気持ちがどうしても捨てられなかったのだと思う。

一方、時間が経つに連れて、先ほどまでヤル気だったパートナーは、どんどんネガティブな様子になってきた。





(別の尾根を詰め上がってしまい、大トラバースをしているパーティー)


ここで起こったことについて、僕の思いを詳しくは書かない。

あとで彼の認識を知るにいたって、僕が記憶している事実とはあまりに違ってびっくりしたが、やっぱりここまで一緒に苦労して来た仲間なので、ここで何かを指摘するべきことではないと思う。

ただ事実だけを記すと、ジェラ氏からは「登頂できるかどうかかなり不安だ。どうせ登頂できないなら早めに敗退した方がいいんじゃないか。ただ、どうするかはリーダーが決めて欲しい」という話が出され、僕は、「まだ完全にダメになったわけじゃないのだから、あと1ピッチ行って敗退を検討しましょう」ということを答えた、というところだ。

彼の言葉を文字通り「敗退の相談」と受け取り、それに対してリーダーとしての考えを返した僕。一方、ジェラ氏にとってこれは敗退の「お願い」だったのかもしれない。

「相談を受け入れて検討したが、やはりあと一ピッチは行っても全然問題ないだろう」と判断した僕と、「不安から敗退のお願いをしたのにリーダーは頑として聞かない」と捉えたパートナーとの間に、噛み合ない会話が何度も繰り返された、というのが客観的な実態のように思う。








そうこうするうち、時間は13:30。ついに順番が回ってきた。

素早くクラックにビレイ点をセット、お互いのロープを確認し、一歩を踏み出す。頭の片隅で「この先の敗退のタイミング」を意識しながらも、目の前のラインを見上げる。

<ここからはヤマレコ日記を転載>



10人前後のクライマーが次々に敗退を決めて行く中、散漫になりそうな精神を集中。1時間半待ってようやく手にした順番なのだ。通勤電車で何度も何度も読みこんだルート情報にあったあの核心クラックが、いまここにある。

まさにクラックに右手を差そうとした瞬間。「私ははっきり言ってモチベーションがゼロです。まったくヤル気がなくなりました。」と唐突に宣言するビレイヤー。


(中略)

先ほどまで一緒に頂上を目指して、このクラックをやってみたいとさえ言っていたパートナーが、今は降りたいと言っている。


頻発する落石、怪しい支点、視界をさえぎる霧。下降するにも心理的なプレッシャーがありうる状況。モチベーションが切れたというパートナーと、二人で安全に帰らなければならない。あと1ピッチ、僕の希望につきあってください、という個人のエゴを通す理由はなくなった。

ここが僕にとっての「タイミング」でした。


さて、もう結論は決まった。

貴重な休み、持てる時間と労力を費やしてここまで頑張ったが、全てをやり切らないままに終わってしまった。心のどこかではたぶんこうなるだろうとわかってはいたが・・。

心にうずまく葛藤を沈めるための、ほんの数秒間の逡巡。

意を決して後を振り返り、敗退の決断を伝える。
後続のためにビレイ点をすばやく撤去。
驚いた様子の次のパーティーに場所を譲りました。


(次で最後・・の予定)

北岳バットレス第四尾根敗退記:その2


さて当日。2時半には出発したいと考えていたが、パートナーは前日の高度差500mの偵察行で疲労困憊の体。体調を気遣い、2時を少し回るまで起床を待つことに。

とりあえず彼のテントから食器だけをもらい、バタバタと食事を準備。
水気の多い雑炊やスープ類を用意したら、割とノドを通ったようでひとまず安心した。

ガスを片付け始め、ようやく出発かと思った間際に「テルモスのお湯を入れたいです・・」「ええ〜?先に言っておいてくれたら〜!」などのドタバタがあったりして、3時20分に白根御池発。

当日トップアウトしたパーティーは、すでに取り付きで並びはじめていたようだ。ここで遅れをとったのが失敗の第2、でした。

取り付きについたのはまだ夜も空けない4:50。
すでに下部岩壁のあちこちには沢山の人!人!まさかのヘッデンクライミングの列w





第五尾根はすでに渋滞の様子。仕方なく、上からの落石に注意しながら、dガリー大滝から突破。取り付きのボルダームーブが核心。
大反省すべきことにクライミングシューズを忘れたのですが、まあナントカなりました。

ちなみにここの出だしに失敗して、残置ハーケンが抜けて数m転げ落ちたという人がいたようで・・。やっぱり残置コワイ。





ここから渋滞をやり過ごしたかったのと、単純に美しいクラックに惹かれたのとで、下部フランケ転進を提案するが断られる。
(一応オプションとしては計画にあったのですが、手強そうでした^^;)


少しでも先にいくために、2本ある横断バンドの上側めざして入る。ジェラ氏から見せてもらったスーパートポのお陰で、一度も迷わずに来ることができた。

ここからピラミッドフェースの取り付きまでパートナーにお任せ。トラバースの核心手前でグレーカム一つだけかまして、身軽に突破。さすがと思っていたら、人で混雑している下のバンドに、派手に大石を落としていて焦った〜!

ここで大きな失敗。
ジェラ氏がハーケンと木の根っこを不思議な形で結んだスリングを、確認せずに自分の環付きでロック。てっきり会話から流動支点にしたのかと思い込んでいたが、そのまま掛けていただけだったことに後で気づいた。どちらが抜けてもおかしくないような怪しい支点だった。その上にもう一つ支点を取ってはいたけども、かなり危険な確認ミスでした。(ジェラさんは気づいていたらしいが・・)




まず落ちない場所、かつ先を急いでいたという心理もあって、盲目的に渡された場所で環付きを取ったのが原因。

ここから下部核心のクラックへ。
ま、アプローチシューズでも十分リードできる感じ。5.7くらい?




ここからの2ピッチは、ジェラ氏が連続で担当。

しかし、なぜかルートの概念に混乱しはじめたパートナー氏。cガリーを指してbガリーですよね?とか、ここは予定と違うルートだ、とか何度も主張して、困った雰囲気になりはじめる。

昨日二人で確認したスーパートポの記憶を頼りに、丁寧に説明しても納得してくれない様子。「後のパーティーがそう言っていた。あの人は何度も来ているから、向こうが合っているはずだ」と譲らない。

何度か同じ話を繰り返すことになり、困り果てて「あと1−2ピッチ、上部岩壁の取り付きに上がってくれたら自然にわかります」ということで、無理矢理に会話を終わらせてしまった。

この辺りから、お互いにギクシャクした空気が出始める。
う〜ん・・どう伝えればわかってくれたのかな。

さて、下部岩壁ラストは僕のリード。
階段状の簡単なピッチを終え、テラスに出てみると・・



30人を超える大行列!
cガリー側の低くなっている場所にはさらに人数がいる。初心者中心の巨大パーティーが詰まっていて、渋滞の原因をつくっているようだ。

続いて上がってきたジェラ氏。次のクラックを目にして、俄然行きたそうになっていたのだけど、僕がやりたかったということもあり、お願いして譲ってもらう。

朝は「私が全フォローになってもいいですか」と聞いてくるくらい自信なさそうだったジェラさんだけど、ここをリードしたいというくらい気力が回復したのは朗報。

ルートについても、ここから見える風景を元にあらためて説明し、ようやく理解してもらう。

(またまた続く)

北岳バットレス第四尾根敗退記


北岳バットレス敗退しました。

年に2・3度の貴重な休みに出かけた憧れの山。
20kgを超える大荷物をかつぎ、想像を絶する混雑の中、調子の上がらない相方のためにバスの列に並んで待ったり、テント場を押さえたり、荷物を持ったり、精のつく食事を準備をして待ったり。

そして全てをやりつくさないまま迎えた突然の終わり。



いやあ・・精神的に応えたー。

ま、立ち直ったけどね!

geraniumさんから「アルパインに行きませんか?」というお誘いを受けたのは7月くらい。実施直前に彼が体調不良になり、単独で山にでも転戦しようかと思っていたが、「こじーさんさえ良ければ、取り付きまででも行きたいです」というアツい話にぐらっと来た。

この時点では、剱の六峰A・Cフェース、北岳バットレスが候補でした。

バットレスは下部岩壁を含めると20ピッチ近いクライミング。壁の上にいる時間が長く、体調不良・悪天候になった場合の敗退が難しいことが懸念。

剱の場合は、アプローチが大変だけれどいつでも敗退が効く。さらに肝心のクライミングは3ピッチ。本峰を踏まずに即下山もできるということで、よりリスクが少ないように思えた。

しかし車の運転も含めてアプローチが遠すぎる、ということで剱は消滅。他の候補もうまく希望が折り合わず、結局は元の北岳におちつく。

そもそも剱沢まで行く体力が不安なレベルで、3193mまで登れるのだろうか?
1ピッチ30分で終わらせても10時間近い登攀、さらに白根御池ベースからのアプローチと長い下山も加わる。3連休だから渋滞もするだろう。寒気の流入で氷点下が予想される山頂付近、彼の体調的にビバークは考えられない。となると、連続15時間行動くらいになっても不思議ではない。

実際に行動時間を細かく計算してみせると、「意外に時間がかかるものですねー」という気の抜ける返事が返ってくる。あれ、何を根拠に行けると思っていたのだろう?とやや訝しく思いはじめる。

僕がこの時点でスッパリ断った方が良かったのだが、その時は「じゃあ僕も頑張るからやれるところまで何とかやりましょう!」とふんわり答えたのが最初の誤算。




ま、ぐずぐずした夏を終えて、久しぶりに天気がよかったからね〜!
ついつい楽観的な気分になりまして。




当日は、満載の始発バスに乗れない登山者が続出する混み具合。

ジェラ氏と相談して、僕が先行。テント場を二人分、押さえておく役目にあずかる。
到着後、疲労困憊のパートナーに休憩をとってもらい、午後に取り付きを偵察。




おおお〜これかあ!!
目の前で見るとカックイイね〜!


ここでハング下に明日のロープやハンマーなどをデポ。
これでジェラ氏には空荷で来てもらうことができるようになった。

前日の偵察人数、小屋番の話を総合すると、明日はかなりの渋滞が予想される。


スーパーアルプス林道が復旧して初の晴れ、三連休。
混まないはずは無いよね。

(続く)

2014年9月11日木曜日

デビュー


本格的にクライミングをはじめて2年ちょっと。

今まではヤマレコに記録を書いていたのだけど、マルチ、ボルダー、雪山、最近ではアルパインや沢など興味のフィールドが広がって行くに連れて、もっと自由度が欲しくなってきて、今更ブログデビューしてみました。

プライベートはSNS、クライミングや山の感想などはブログとしばらく使い分けてみようと思っています。ヤマレコは行程の記録用として使うかな?

ま、過去のレコもボチボチこちらに移して行くかも知れません。




ヤマレコは「共有スペース」という感じでしたが、ブログを持つと「自分の場所」がてきたような感じがしていいものダナー。

というわけで、よろしくお願いいたしやす〜。

2014年9月10日水曜日

About me

まだ設定がわかってないので、とりあえず暫定プロフィール(ヤマレコと共通)。



山が大好きで、数年前から100名山を中心としたピークハントを楽しんでいましたが、とある出来事をきっかけにバリエーションを目指そうと決意。2年前からクライミングを本格的にはじめました。

登攀の世界はジャンルやスタイルが細分化されているので、自分が何をどこまでやりたいのか試行錯誤中ですが、ボルトルートよりトラッドルート、ジムより外岩、エイドよりフリー、登山道よりバリエーション、人気の雪山ルートよりトレースのないマイナールート・・と段々と自分の好みが見えてきました。

なるべくテクノロジーや先行者、山小屋の助けを借りず、自分(と仲間)だけの力で自然の与えてくれる挑戦と向き合っているのが楽しい、というところでしょうか。とはいえ痛いの嫌だし、楽はしたいし、安全第一だし・・。下山後のうまいメシと温泉は欠かせない。なかなか葛藤はつきません。

今シーズンの目標は脱初級者。アルパインクライマーとして最低限のレベルに届ければなと思っています。

・マルチにおいては、錫杖岳「注文の多い料理店」、瑞牆「調和の幻想」がターゲット。より山に近いバリエーションとしては北岳バットレス、剱岳6峰Cフェースなどにも挑戦したい。

・夏山登山道は趣味として目標を決めずに楽しみたいですが、チャンスがあれば下の廊下から北方稜線は一度トライしてみたい。

・クラックは3本。湯川では三大クラック、特にバンパイアの攻略。小川山では、クレージージャム!(・・あ~言っちゃった)。瑞牆では、具体的な名前はまだないですが、グレードとして10a以上のワイドを狙いたい。冬にはクラック11台、ワイド10台後半に届くのが目標です。

・ボルトでは、苦手なスラブを強化したい。具体的には「ブラック&ホワイト」「ジャーマンスープレックス」に触れたら・・。宿題に残している「タジヤンII」「オーウェンのために祈りを」は解決したい。フェースは11前半を安定して登れるように本数を増やす。

・食わず嫌いで通してきた沢やアイスにも一応は触れておきたいと考えています。

・インドアも嫌がらずにちゃんとやろう・・かな。11後半を目指して。ボルダーは少なくとも「コンスタントに続ける」ことを目標に3級に届けばいいなあ。

いつか山のバリエーションルートを自在にトライできるようになりたいですが、まずは徹夜が多い仕事が核心です。

山歴:
2013年9月 槍ヶ岳 北鎌尾根(単独)
2014年1月 甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根(単独)
2014年3月 八ヶ岳真教寺尾根

フリークライミング歴:
○マルチ
海金剛 スーパーレイン(5.10a) 残置無視RP
城山 バトルランナー(5.10b)OS
小川山 セレクション(5.9var) OS

○クラック
小川山 予期せぬプレゼント(5.10aワイド)OS
城ヶ崎 イサリビクラック・ライト(5.10c)RP
    インディアンドール(5.10d)RP

○フェース
小川山 レール・デュ・タン(5.10d)FL
湯河原幕岩 シャックシャイン(5.10d)RP

ヤマレコID:kozzzzy



(最終改訂: 2014年1月)

2014年9月1日月曜日

瑞牆山 十一面岩 <調和の幻想>

日曜日。朝の廻り目平は見事な晴れ間が。ひょっとして粘り勝ち?

これなら瑞牆山を挟んで反対側にあるエリアも大丈夫でしょうと、浮ついた気分で行って見たら、瑞牆山は重~い雲の中。雨は未明まで残っていたらしい。もしかして廻り目平の晴天は、こっちで雲をブロックしていたからなの?

こんな朝なのに車は15台以上あり、ビッグロック店長のMさんとか、雑誌によく出ている某ガイドとか・・どこかの岩場で見た顔ばかり。我らが塾生仲間、YZ部長もいらっしゃいました。まあ、とりあえず来ちゃったので、準備をして出発。

末端壁はデカい!カッコいい!霧が立ちこめ湿り気が半端ないが、取り付きには既に4・5名の人たちがいる。中には有名女性クラッカーHさんの姿も。



はたして調和の幻想は・・ビショビショ。1P目~2P目でマントルを返すあたりは滝状態。もちろん無人(笑)。

山賊ルートという代替案もあったが、やっぱりあこがれの「調和」を見てしまうと目が離せなくなる。ま、そのうち天気もよくなりますよー、などと無責任なことを言いながら、のんびり準備。

12時前に晴れ間がやってきたので思い切って出発!




へ、まだ濡れている?・・それが何か?
これまで、濡れファザー、濡れクレジャム、濡れテレポーテーションをやってきた我々に取ってみれば、「濡れ」なんぞは問題にならないのであります(キリッ!)

とか思っていたけど、案の定というか、途中はまるで急角度の滑滝登りでした。一足一足に神経が張りつめる。カムさえも滑って抜けそうで恐ろしい。

精神的な核心は、KSさんの上部ピッチ。



カムを取ってから、大きくトラバースしてスラブ壁へ行くのだが、ガバは当然、カチすらない。もちろん墜ちればテラスにグラウンドする大ランナウト。目の前にリングボルトがあるが、もちろん無視。



ちょうど視界を遮っていた霧が晴れ、偶然にも小ヤスリ方面から下山してきたYZ部長の声が届く。KSさんのトライを見守ってくれているようだ。




(下山中のYZ部長パーティー)

最初のポケットまで、結晶の粒を踏んでそろそろとあがる。ビレイヤーの僕は、万が一に備えた体勢を取る。もし墜ちたら、その瞬間にロープをどれだけ引けるだろうか。おそらく1mも引けたらいいところだろう。運が良いと木に激突して引っかかる、悪いとグラウンド。つばを飲む。

そろそろと伸ばした手がポケットを取る。しかしその上はもっと悪い。もはやビレイヤーはいなくていいくらいのランナウト。先ほどのポケットにはみ出し気味の紫を決めてはいるが、到底止めてくれるとは思えない。

スラブをトラバースし、クラックがあるラインに戻る。あり得ないくらい薄いカチのガストンで体を支えながら、思い切って体を倒すが、次の足がない。一度体がめくれたら持ち直せないだろう。

一旦体を戻して荒い息をととのえるKSさん。神経をヤスリで研がれるようなじりじりとした間が過ぎる。

ムーブを組み立てなおし、極小スタンスで足を踏み替える。そこから思い切って左へ体を乗り出し、クラックへ一歩踏み出す。ガンバ!
もう戻れない。こちらも息を詰める。

左の凹角に体が移り、上部ハング下にカムが決まる。深い息。右手に握るロープが急に心強く思えてくる。ここからも悪いムーブが続いたが、苦労しながら突破。さすがに初段クライマーでした。


「最後のトラバースを抜けたときにはおもわず拍手してしまいました。」見守ってくれていたYZさんからも、嬉しい話を後から伺いました。もともと残置を使うスタイルでしたが、あえてボルトを無視して自分達の力だけで限界に挑むという僕たちの姿勢に、感動してくれたようでした。




(快適な最終ピッチ)

そんなこんなで5時半をまわってトップアウト。写真を撮り始めたら、立ちこめていた濃密な霧が奇跡のようにさーっと晴れ、眼前に奇峰群を見せてくれました。ひゃあ~!!やりましたね~!よかったあ!!やった~!




夕日に照らされる雲海。
スーパーレインに初めて挑んだ時、終了点から西日を眺めたことを思いだす。

あの時はオンサイトを逃してしまったが、今回は胸を張って帰れる。濡れた状態での調和トライ、そして残置無視オンサイトは誇っていいだろう。ずっと憧れだったミズガキクライマーの仲間入りを許されたような気がする。

さて、ここでヘッデンがないことを思いだす。12時から5ピッチを限界トライしたら、何時になると思っていたんだ自分は・・。

再び視界をくもらせる霧の中、連続懸垂を開始。4P目終了点から2P目終了点付近の立ち木まで、時間もないので50m一気に降りる。ところがロープがスラブに引っかかって抜けない。仕方がないので、KSさんには25mずつ小分けに懸垂し、ロープをちょこちょこ引き抜いてもらうように伝える。声が遠くてなかなか意思疎通ができないもどかしさ、暗闇が迫る焦りがあいまって、ついつい声がきつくなってしまう。元はと言えば僕の判断ミスなのに申し訳ない・・。

最終ピッチ懸垂。すでに上部は厚い雲で覆われていて、空は真っ黒。星明かりすら望めない。残りわずかな残照を頼りに、まずはKSさんに降りてもらう。僕は夜目が効く方だし、携帯電話の明かりがあるので懸垂のセットくらいはどうにでもなる。
下山路を少し間違えそうになってウロウロしましたが、慎重にルーファイして駐車場へ8時過ぎに到着。




温泉に入って、ようやく緊張を解きました。

さて、ようやくフリーの一つの目標を達成した。
まだまだ失敗だらけで「脱初級者」までには距離がありそうだけれど、10aで大げさかも知れないけれど、ここまで来られたことは素直に嬉しく思います。運動センスなし・クライミング経験なしのオッサンが、ついに山岳会や同好会にも入らず、こんなに遠くまでたどり着けるとは思いませんでした。

商売を度外視して(?)山の技術と考え方をアツく指導して下さる塾長に出会わなかったら、今の成果はあり得なかったでしょう。自立したクライマーに少しでも近づくことができたのは、ただただ塾長のお陰です。
そしてここまで来られたのは、小川山、城ヶ崎、日吉やアキパン、夏山や冬山で、いつも一緒に刺激しあって、アドバイスしあえる楽しい仲間がいるお陰です。完全な独力だったなら、自分は到底ここまで来られませんでした。
特に僕の無謀な誘いにも気持ちよく乗って下さり、いつも助けてくれるKSさんには感謝したいと思います。KSさんの技術、精神力なくしては、核心を突破できなかったと思います。パートナーに恵まれたのが何よりの幸運ですね!

というわけで、こんな長文駄文を読んでくれたアナタに言いたいのは、濡れた岩場もたまにはいいよっていうことです。
ひとつ雨の小川山なんてどうですか奥さん?


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※以下は記録

アプローチは少し迷って40~50分くらい。

 1P 12:00-13:00 (1:00)
 2P 13:00-14:05 (1:05) 
 3P 14:05-15:10 (1:05)
 4P 15:10-16:20 (1:10)
 5P 16:20-17:35 (1:15)
 休憩 17:35-17:45
 懸垂 17:45 - 19:00頃 (1:15)合計5P
 (正規終了点まで10m+50m+25m×3回)

下山開始 19:45
下山 20:15頃

<ルート内容>

◯ 1P目 5.10a OS (KS)
ツラ楽しそうなワイド。右のフレークを使うのだが、バランスが微妙で頭をひねる。抜け口も悪くて泣かせてくれる。ホント10aなの?これがミズガキグレード?
右のスラブが乾いていると違うはずと思いたい。

◯ 2P目 5.9 OS (kozzzzy)
下部はアメリカンフィストくらいのクラックを頼りにボルダーチックにハングから体を起こす。そこから、濡れたフィンガークラックを頼りに、ビショビショのスラブにスメアを張ってマントルを返す。カームフライデイ核心によく似ている(でもあれって10bだったよな・・)
そこから外傾したスラブをそろそろと上がる。ビショビショのスメアがすべって何度かカチでこらえたが、たぶん乾いていると5.9なんでしょう。スラブを上がり切ると、左手にしっかりした木がある外傾テラス。トポには一段上の木の方がよいと書いてあったが(実際3P目のビレイを考えると上がった方がよいように思った)、上の木は見事に枯れていた。なんとかクラックを使ってビレイ点構築。下の木で切ってもいいのかもしれない。
ま、一番濡れたところをやったので、無理させた責任を取った形(?)

◯ 3P目 5.10a OS (kozzzzy)
5P目をやらせてもらうことになっていたので、ここで変則オーダー。
この辺から日当りがよく岩も乾いている。数手のトラバース核心。リングボルトがとても目障りで、ルーファイを間違えそうになる。実際はボルトより随分下をトラバースした方が自然だった。ややかぶっているので、考えながらいくとストレニュアス。トラバースしてからさらに右裏側の岩でマントルを返した方が易しい印象。
これはグレード通りか。

◯ 4P目 5.9 OS (KS)
ウワサの精神的核心。まずは木とスラブの間に体をつっぱりワイドムーブ、高い場所からバッタンとスラブに飛びつくが、飛びついた後の手があまりない。僕はリーチのせいか、スタティックに行けたが、それでも木にきめたステミングが滑りそうで怖かった。
左のコーナークラックにカムを決めてから、恐怖の大ランナウト。ダイクを右トラバースして、スラブをそろそろと上がっていく。途中でポケットに紫カムを決めたが、後で自然に抜けてしまった。再び微妙なバランスムーブで左へ。コーナークラックまで戻り、ようやくプロテクションが取れる。墜ちると余裕でグラウンド。
精神的に最も痺れるセクションでした。ここからもあまいワイドフィストを頼りにハング越えする2・3手が厳しい。これが5.9なんて絶対にウソでしょ~。
ちなみに絶賛リーチ有利です。KSさんゴメンなさい。

◯ 5P目 5.8 OS (kozzzzy)
恐怖の15mレイバックを強いられるらしい大フレーク、そして核心とウワサされるワイド。5mから15mのランナウトがあるとか。

ところが行って見ると6番カムが全然決まる。しかも寝ているから余裕。カムをずらし上げるので、時々レイバックからフレークの中に入るムーブが必要にはなるけれど、まめにずらし上げているうちにフレークの最後3~4mほどまで来てしまった。もうグラウンドはないので、カムとはここまででおさらばし、フレークの終点へ。結局大したランナウトはなく終わった。
フレークの最後でハンドサイズのカムをきめ、しばらく進むとワイド。ここに4・5番を温存していたが、ムーブの邪魔になるので、どちらか一つあればいいくらいか。
ワイドの奥は濡れていて怖かった・・。日吉で練習したことを思いだし、ムーブをあれこれ組み替えたりしながらしゃにむに通過。ちびっこ有利みたい。
そのまま残置終了点を通り過ぎ、上部テラスへ。3mほど奥の木に、50m一杯のロープを引きながらビレイ点をつくって終了。木が奥にしかないので、長いスリングや捨て縄などで延長できるとよいです。

◯ 懸垂
最初は残置終了点まで10m。5P目取り付きまでも50mで降りられるはずだが、テラスのエッジでスタックしそうな予感しかしないので自重。
そこから50m一気に降りて5P目取り付きへ。
ここで僕が2P終了点(下の木)まで50m近く降りるが、ほとんどロープが引けないので、KSさんに25mずつ降りてもらってちょこちょこロープダウン。ここで再びロープスタックしそうになったがギリギリ抜けてよかった(暗闇をリードしたくない・・)
最後の1ピッチもロープスタックしかかったが、取り付きから10mほど後方に下がって引いて、ことなきを得る。取り付きと同じ場所に下降しようと思っていたが、トポ通り、左側のフェイスに出てしまった方がよかったのかも。
初見かつ暗闇の下降で不安だったので、一度通った場所の方が安全かという判断でした。そもそも遅くまでやるならヘッデン持って行けという話だな・・

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(ヤマレコのログより転載・加筆しました)
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-503209.html